おりょうSNK

あの日のオルガンのおりょうSNKのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
4.0
最高の題材、最高のロケーション。
 
~サクッとあらすじ~
東京大空襲目前、疎開の対象から外されてしまった保育園児の集団疎開を、反対派もいながら成し遂げた保母たちがいた。
 
語り継がれる名作となり得るほど最高な題材だけに、惜しい作品だった。悔しい!

エンドクレジットで知ったのだけど、京丹波町や亀岡、舞鶴、米原など馴染みのある場所でロケしていたようで、素朴でとてもいい、古き良き日本の雰囲気。

集団疎開の言い出しっぺである戸田恵梨香さん、裏で支える夏川結衣さんと田中直樹さん、疎開先での良き理解者となる橋詰功さんたちの演技は文句なし。主演の戸田恵梨香さんの演技の確かさは疑う余地がなく、「怒りの乙女」と呼ばれる強い保母を好演。牽引力もある女優さん。

だったのに、後半急に影が薄くなったかと思ったらブレる乙女になっていた脚本が実に惜しい。一度ブレるのはいい、でもあのキャラで2度も3度もブレちゃだめだ。人前で大泣きしてはだめだ。例えばあの泣きは観客だけが知っている涙とかにすればまた違ったはず。
 
この作品、日常を描いている場面はすごく良くて、微笑んだり涙ぐんだりさせてくれるけど、ここ!というところの力の入れ具合が違うというのか、表現力が足りないというのか。
セリフは100とも200とも300とも言われている映画表現において最下位に位置する、もっとも映画と遠い場所にある表現方法なのに、回想シーン2秒で表現できるところを喋らせる。
オルガンの扱いが実に中途半端で、タイトルとするには弱すぎた。重ね重ね惜しい。
おりょうSNK

おりょうSNK