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あの日のオルガンのsingerのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
3.0
とても尊い作品だったと思いました。
実話を元にした作品ということもあってか、
無理に盛り上げようとしたり、オーバーに脚色したりする部分も少なく、
とてもストレートに、あるがままを描いたような印象で、
それはさもすれば、淡々としているようにも感じられそうでしたが、
しっかりと伝えたい事は伝わる、価値のある作品だったと思いました。

キャストで目立ったのは、やっぱり大原櫻子かな。
彼女はどっちかというと歌手のイメージが強いけど、
女優としてもとても魅力がある人だなぁと。
特に、「この道」を歌うシーンは印象に残ったんですが、
正直、もっと彼女がオルガンと一緒に歌うシーンを見たかったような気もしました。
後は、実はこっそり追いかけてる、同郷の堀田真由。
派手じゃなくても、こういう自然な魅力も出せるんだなぁと、改めて成長と、演技の広がりを感じさせられましたね。
そして、戸田恵梨香。
第二次世界大戦末期。日本初めて保育園を疎開させるという事に、
強い意志で取り組んだ主人公を、とても熱く、しっかりとした面持ちで演じていて、
その凛とした存在感は見事だったと思います。
レンタル版の方には、そんな撮影時のメイキング映像も収録されていて、
現場の少しアットホームさが伝わる場面も見られたのは良かったですね。

【主題歌レビュー】
♫「満月の夕」/アン・サリー
1995年。阪神・淡路大震災の夜、その時昇っていた満月をインスピレーションに、
ヒートウェイヴの山口洋と、ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬が共作した楽曲。
自分は、当時、ヒートウェイヴのファンだったので、この曲が収録された、「1995」を、熱心に聴き込んだことを思い出しましたね。
そして、今作でアン・サリーがカヴァーしたバージョンを聴いて、
この曲が今でもこうして“歌い継がれている”という事に、心が動かされる思いでした。
そして、それがこの映画の最後に流れた事に、自分の中での運命的な物や、今この作品に触れる意義を感じさせられたので、いい鑑賞機会になったと思いました。
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