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あの日のオルガンのcalinkolincaのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
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今日は実際にあった出来事を映画にした、「あの日のオルガン」を。
まず、戦時中に園児を親から離して疎開させるという設定が、コロナで学校が休校になった共働きの親が、田舎の自分の親たちに子どもを預ける少し前の状況に似ていて、新聞で戦争を経験した方たちが今の状況をまるで戦時中みたい、と語っていたのを思い出しました。緊急事態宣言は解除されたし状況は違うけれど、私たちは戦時中に匹敵する生命を脅かされる事態の中にいたんだな、と改めて思いました。
戸田恵梨香さんの演技が観たくて借りたのですが、天真爛漫な新人保母さんを演じる大原櫻子を始め、保母さん役の佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵ら若手女優たちの演技が、戦時下に咲くひとりひとりが個性豊かな、可憐な花のようでとても良かったです。恵梨香さんは彼女らを引っ張る、厳しくも頼もしい保母さんを演じていて、気の強い女性役がハマリ役でしたね。恵梨香さんの存在感が映画をキュッと引き締めている感じがしました。
ストーリー的には直接的に戦争を描くのではなく、日々の暮らしの中に女性の目線で戦争がもたらす悲劇を描いているという点で少し、「この世界の片隅に」に似ているかな、と思いました。戦争に翻弄される市井の人たちの中にある「強さ」がとても印象に残る、素晴らしい作品でした。もっとたくさんの方に知っていただきたい、と心から願う作品でした。
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