YUMiC

あの日のオルガンのYUMiCのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
4.5
✍︎2020.08.24

物語は第二次世界大戦最中、
東京の保育園の保母と53人の園児たちが
疎開をし、戦争を生き抜いていく物語。

久々に食い入るように見た。
戦争には色んな物語がある。
実話とは知らずに見て、
保育園が、保母さんたちが、
幼い子供たちが戦い抜いた戦争が
あったんだと初めて知った。

私は戦争を題材にした番組や
映画は機会があれば観ている。
広島に生まれ育ち、
幼い頃から戦争の教育を受けてきた。
8月6日には必ずモノクロの写真と
戦争の映画を見る平和学習の為に
登校をしてきた。
そのせいで20代前半くらいまでは
今でも脳裏に焼きついてる
悲惨な写真の怖さと惨さの記憶で、
戦争に触れることが怖く、
どことなく避けてきた。
でも歳を重ねる事に、
あの日の広島を知ること。
戦争を知ること。
それがどれだけ大事なことなのか、
その想いが強くなった。
戦争を起こさない為に、
戦争を知らない私たちが
戦争を知らなければ
戦争なんて止められないと
思うようになった。

だからこの映画も私の知るための
ひとつの物語だった。
ここには想像以上の
哀しみ、戦い、愛情、憎しみがあって、
人として、保母として
強くもたくましく
ひたむきに子供たちを
守ろうとする姿。
幼く小さな体で寂しさや悲しさを
必死に堪えながらも
果てしなく澄んでいる
子どもたちの笑顔や歌声、笑い声。
そんな皆の姿に心が揺さぶられた。

見終わった後は、
ユーモアに溢れながらも
戦争という重く苦しく暗い物語の中に
優しさと温かさが丁寧に描かれていて
何だかぽたっと紙に落ちる
水滴みたいに心にじんわりと
優しさが広がると同時に、
戦争の意味、やりきれない哀しみが
静かに広がる感じだった。

戦争は多くの人が命を落とし、
大事な人を失った。
戦争で命を落とした
子供たちも数しれない。
戦争孤児となった
子どもたちも数しれない。
そんな中で、今の私たちに
未来を繋ぐ小さな命を
彼女たち自身がギリギリな中、
必死に守り抜いたことを本当に誇りに思う。

物語の中で
「本当にこれが正しかったか
どうかは、ここにいる子供たちが
大きくなった時に決めること」と
言うセリフがあった。
彼女たちの行動は
きっと大きくなった子どもたちに
正しかったと言って貰えるはずだと思った。

子どもも、
保母のキャストもみんな素晴らしく
とてもいい映画だった。
切なくも優しい映画。
ラストのシーンもとてもよかった。
戦争というものがこの世界から
全てなくなり、
2度と過ちが侵されず、
平和な世界で子どもたちが
大きくなれる世の中でありますように。
そうふたりの娘の見ながら思った。