mimitakoyaki

大英博物館プレゼンツ 北斎のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

3.8
2017年5月~8月にかけて大英博物館で開催された展覧会「Hokusai: Beyond the Great Wave」の舞台裏や北斎の作品を、彼から影響を受けた研究者やアーティスト達がその魅力について熱く語り解説するという、北斎に関する映画としては初の長編ドキュメンタリーです。

ちょっと途中ウトウトしたりもしたのですが、北斎の作品がたくさん見られるし、作品だけでなく北斎の人生そのものに触れらて面白かったです。

北斎と言えばすぐに浮かぶのは赤富士や神奈川沖浪裏などの「富嶽三十六景」ですが、それらの浮世絵だけでなく、晩年の肉筆画もたくさん紹介されていて、花や龍、鴨などの自然を驚異的に精巧な筆致で、カメラのない時代にどうやって動物などの瞬間の動きを捉えたのか、神がかってるとしか思えない躍動感に溢れた動きや、美しい構図や色使いにひたすら感動でした。

モネやゴッホに影響を与えたことは有名ですが、こうして大英博物館で展覧会が開かれ、現代でも世界中で注目されて愛されてるというのがすごいし、北斎は90歳まで生きて、江戸時代では相当な長生きだったでしょうけど、亡くなる寸前まで筆を握り続け、さらなる高みを目指して描いていたという、その生き様も知って、本当に絵を描くために生まれてきたんだなと思いました。

驚くことに、晩年の肉筆画がそれはそれは素晴らしく、普通は年老いると目も悪くなるし動きも鈍くなるしで衰えるものですが、80を過ぎても上達していってたというのが人間離れしてますよね。
絵にかける情熱がどれほどのものだったのか、ただただ圧倒されました。

日本人の木版画職人や日本画の職人が、北斎の絵を再現していく様子も映されていて、そのシーンは短かったのですが、北斎がどのようにして作品を作っていたのかを垣間見られ、またどれ程精巧であったのかもよくわかり、とても興味深かったです。

遠く離れた海外の人が、北斎について語る熱量もすごくて、北斎がこうして時を超えて今もなお、そしてこれからもずっと愛されていくというのを感じて、北斎が生み出した至高の芸術がいかに偉大であるかを思いました。

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