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座頭市 THE LASTのかずシネマのレビュー・感想・評価

座頭市 THE LAST(2010年製作の映画)
2.9
うーん…。なんだろ、うーーーん…。。
話が尾を引くように進行する、日本的なシリアスでダウナーな雰囲気は結構好きなんだけど。

香取慎吾を市に配役するのなら、こういうストーリーの作品でなく、市の愛嬌とか剽軽な部分ももっと出せるストーリーの作品で配役すれば良かったのに、と思う。
そもそも市って、決める時はバッチリ決めるけど、ユーモアもあって可愛らしいとこも多いキャラやん?
この頃の彼には合うやろ、その方が。
シリアス一辺倒も不得意な様に思うが、それよりもいっ時は気の毒なくらいに「剽軽なだけ」な役が多く、それらを演じている時はかなり無理している感じも受けたので、それを前面に出す必要は絶対ないけどさ。
シリアスと愛嬌のバランスの取れた設定ならまだ良かったんだろう。。

問題の殺陣もかなり特訓したらしいけどね…。
特にこの居合いはかなり難しいと思うんだが、ライフワークになっている人や何年も時代劇でそれをやってきている人と比べるのは、流石に酷な事とは思う。
…だけど、とても強い人物には思えなかったし、引きやスロー等でかなり誤魔化したなと思った。
太刀筋とは?という感じで、単に刀を振り回しているだけに見えたシーンが多かった。
これではラスボス仲代に勝てる人物とは到底思えない。
只、大きめな表情の付け方と頭の垂れ方には勝新リスペクトをちゃんと感じた。
線も細くはなく、タッパがあるのも時代劇では映えて良いね。

出演者は割に豪華。芸達者な方も多い。
が、脚本や編集がイマイチで、緩急が無く、「ゆったり」や「静か」を通り越して平坦でだらぁ〜っと展開する。
退屈に感じる場面が多い。
必要だったか分からない場面も多く、もっと短く分かりやすくまとめられたと思う。
場面の切り替え等で、謎な編集や演出も多かった。
カメラワークも謎な部分があった。
特にお屋敷の場面とか。静かなのに落ち着きがない。
港が出来たら漁ができなくなるってZEEBRAが暴れるシーンと、宇梶剛士ご乱心のシーンは、見せ方、演出ともに酷かった。
この人達何やってんねん、何がしたいねん、としか思えなかった。
アラタの役は必要性を感じなかったし、豊原功補の役はもっと上手く使う事ができたと思う。
仲代と高岡蒼佑の最後の方のシーンはある意味ベタで好きだが、もっともっと虚しい雰囲気が出せたと思う。
色々と腑に落ちん……。
本当、雰囲気はいいのにな。勿体無い。

斬り落とされた手首辺りの部分を普通に拾い上げる名も無きお姉さん、強い…と思ったw
最初の方で仲代が着物を見せながら「似合うかぁ?」と言っていたが、へぇ、似合います!と思ったw
あと、工藤夕貴が綺麗だった。

ロケ地や美術、スタイリングは好きだったな。音楽も結構好き。
桜が咲いている土手道を歩いている場面や雪が積もる山の様子、寒々しくもある海の様子はとても綺麗だった。
ラストシーンも好きだし、あの場に水鳥が2羽いたのも良かったと思う。
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