ノラネコの呑んで観るシネマ

芳華-Youth-のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

芳華-Youth-(2017年製作の映画)
4.5
令和の一本目。
1970年代、人民解放軍の芸能部隊、文工団に集った若者たちの群像劇。
文革と毛沢東の時代を脱し、やがて改革開放へと向かう激動期。
軍隊と言っても、文革で長く大学が閉鎖されていた時代にあって、ノリは完全に芸術系学校で、軸となるのは男女四人の団員たち。
友情に裏切り、恋とイジメ。
青春あるあるの生活のなか、一つの恋の破綻が、文工団に残るもの、別の道に向かうものを分け、突然の戦争が全てを変えてゆく。
中越戦争は中国が数で劣るベトナムにボロ負けした戦争だから、人民解放軍が製作に参加した作品で描かれるのは意外。
まあ中国国内的には、勝ったことになってるのだが。
高度成長期に、戦争で心と体に傷を負ったものと、そうでないものに大きな格差ができてるのが印象的。
50年代に生まれ、子供の頃文革を経験し、高度成長期を支え、今徐々に去りつつある彼らは、中国の団塊の世代なんだな。
これはある世代のみならず、ある社会の青春期を描くビターでノスタルジックな寓話で、いわば現代中国版の「アメリカン・グラフィティ」。
大きな時代のうねりの中で、個人史を見つめる視点は、同じフォン・シャオガン監督が手がけた「唐山大地震」とも共通する。
普遍性のある物語で、観終わってジワーっと余韻が広がる。
ヒロインを演じるミャオ・ミャオが、若い頃のチャン・ツィイーみたいでかわいい。
ブログ記事:
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