Jonayama

ザ・リチュアル いけにえの儀式のJonayamaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

最近、Netflixがドカドカ作らせてるアニメはイマイチらしいが(観てないのでウワサだけど)洋画及び洋ドラは個人的に今のところアタリが多いと感じる。
こちらもNetflixが配信権を獲得したイギリスのホラー映画。

イギリスに住む学生時代からの友人4人が半年前に亡くなった友人の希望していたスウェーデンでのハイキングに出かける。
冷え込む中、友人の弔いを済ませ遥か先にあるロッジへと道なりに向かう一行だったが途中で1人が足を挫いたので近道をしようと森の中を突っ切ることにした。
しかし長く広がる枝を持つ木々の間を歩いていると内臓を抜かれ木に吊るされた儀式めいた鹿の死骸に出くわす。そして何者かの気配を感じるのだった…



本作はPOVスタイルではないものの森の中で儀式めいたものを見つけ、夜の闇に紛れ姿を見せないが確実にいる何かに怯えながら少しずつ追い詰められていく『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思わせる前・中盤と対照的に儀式を行う狂気の村人と姿を現した"巨人(ヨトゥン)"から逃げる後半の構成の妙、終始描かれる寒々しく得体の知れないスウェーデンの美しい山々と薄気味悪い森の対比が見事で高いクオリティの画も相まってカルト映画になりそうな題材を用いつつもかなりしっかりしたホラー映画に仕上がっている。
なんだか気の抜ける副題のせいでちょっと損してるような気がするが個人的にかなりいい雰囲気とクオリティの一本だと思う。

わかりやすく全体像が映るシーンはほとんど無いがロキの子孫だというヨトゥンと呼ばれる巨人のデザインや"寿命をはるかに超えて生きている"という村人の描写ななどもとても良い。
ヨトゥンは日本人ならシシガミ様を思い浮かべてなんだか嬉しくなるかも(笑)




以降ちょっと疑問というか考察。

ストーリー自体は大まかに言えばヤバい森に入る→ヤバいヤツらと化け物に襲われる→主人公だけなんとか助かる…なのだが個人的には本当にそうなのだろうかと少し疑問に思う見せ方に思えてしまう。

やたら意味ありげに何度も挿入される半年前のある事件の幻覚や初対面のはずの者に告げられた生贄にならずに済む資格について、そしてあまりに現実離れした"巨人"の存在、森を抜け"巨人"と対峙していたはずなのに目の前にはただ木々のみが立ち並ぶカット。。

もしかして今回の出来事は半年前、臆病さから友達を助けられずに精神を病んだ主人公が見た幻影だったのでは…というのは深読みしすぎか(笑)
森の中に突然事件の起きたコンビニが何度も現れるのでなんだかとても思わせぶりなのだ。仲間も幻覚を見ていたらしいからあの森あるいはルーン文字が彫ってある場所では魔力がはたらいて幻覚を見せられてしまうということなのだろうか。

半年前とは違い、ヨトゥンや村人に抵抗しつつ森を脱出した主人公が雄叫びを上げるシーンはなんだか象徴的だ。声がまだヘタレっぽいのが胸にくるw



キリスト教国家から見た北欧の異教徒(ペイガン)の持つ不気味さ得体の知れなさを先鋭化して描写して見せた思わぬ掘り出し物のホラー映画だ。気に入った。
急がば回れは至言ですな。
Jonayama

Jonayama