カズナリマン

ラスト・ムービースターのカズナリマンのレビュー・感想・評価

ラスト・ムービースター(2017年製作の映画)
3.9
近年「ラッキー」やら、「さらば愛しきアウトロー」やら、俳優のキャリア終焉を意識した映画を数多くみかけますが、こちらはバートレイノルズのキャリアを振り返る、結果的遺作となった感動ドラマ。
映画のストーリー自体は、ヴィック・エドワーズという架空の元大スター(バートレイノルズ)を描くフィクションなのですが、そのヴィックの過去作品として登場するのはどれもバート・レイノルズが出演した映画ばかり!まさに、バートのキャリアを振り返る一作となっております。
劇中、自身の過去の栄光や後悔などに関してポロリと皮肉めいた言葉をもらすヴィック。しかし、そのどれもがバート本人の言葉にしか聞こえない!考えてみれば、過去大スターだったアーティストやスポーツ選手など、みな思うところは同じようなもんなんでしょうが、あらためてバートの言葉からその言葉がでると重みが違う!さらに、それは「かつての大スターの言葉」を通り越して、「ふつうに年を重ねた人間の言葉」にすり替わって、より意味深く響くんですよねー、自分の中に。

Bad Choices(誤った選択)がキーワードの本作。

バートの口からでるデニーロやイーストウッドなどの名前はきっとバートからみたら「選択に成功した成功者たち」なのでしょうが、この映画をみると明白なのは「彼らもまた誤った選択を後悔しているにちがいない」こと。
それはつまり、一見成功者にみえる誰にも誤った選択があり、人は皆だれしもそれらがあるからこそ、後悔できる「豊かな人生」を送ってきたのかも、ということ。
そんな本作の背景やバートのセリフの裏の意味をじっくり考えながら、自分の人生をも振り返れちゃえる感動作でした!

ああ、言い忘れた!本作の見所はバートのみにあらず!バートの世話を担当することになるリルを演じるアリエル・ウィンター!アメリカではTVシリーズ「モダンファミリー」の出演者として人気らしいですが…めちゃめちゃ良かったです!あのゆるーい体型も含め、バートの演技が存在感一本槍なぶん、横でクルクルとかわる彼女の表情がめっちゃ魅力的でした!