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ダイ・トゥモローのKUBOのレビュー・感想・評価

ダイ・トゥモロー(2017年製作の映画)
3.0
「東南アジア映画の巨匠たち」にて鑑賞。

「死」は誰のもとにも訪れる。しかも突然に。事故死、病死、自死などなど。

この作品がおもしろいのは、その死の瞬間は描かない。描くのは、次の瞬間死ぬ人のごくごく普通の日常だ。日常は死と隣り合わせ。死は突然にやってくる。

画角が頻繁に変わる。死ぬ前の日常はスマホで撮ったような少し粒子の粗いスクエアの画面。死した後の世界は横長のフルサイズ。上映後のQ&Aで監督のナワポン・タムロンラタナリットさんに伺ったところ、スマホ撮影ではなく、左右を切ってスクエアな画角にしたのは昔の映画館で流れていたニュース映像的な雰囲気を狙ったとのこと。どちらにしても効果的な演出であったことは確かだ。

ナワポン監督は「ヨーロッパでは本作は驚きを持って迎えられたが、アジア圏、特に日本では安心して見ていただける。それは根底に仏教の考え方があるからだろう」とおっしゃっていた。

映画祭での上映はあるが一般公開は決まっていない。興行的には厳しいだろうが、たいへん興味深い作品だった。
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