JIZE

ヘレディタリー/継承のJIZEのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
1.5
古めかしい陰惨なホラー映画のフレームワークで何もかもが終始しており過去のB級作品にあったような展開をジワジワ弱火で2時間蒸されても既視感しかなく心に響くものがない。家系の因果応報ものとしてもイマイチ起伏が薄く不快極まりないカメラワークを意識してるが脚本にのれない。物語の最初から最後までで徐々に最悪な方向に転じていく作品としてはよかろうか。禁忌に触れた人々を襲う現代版『エクソシスト(1973年)』がやりたかったのか。。

母親の夢遊病でヒステリックな一面、チャーリーの伝達疎通が欠如した不穏さ、息子と父親の善人ぶりなど家族構成でもイマイチ連携感が生まれず。例えば外枠がやや酷似する『サイン(2002年)』のような家族の団結で悪を滅ぼす方向に走ってくれない。事態が急ピッチで進んでくれないので躍動感や何かを突破して恐怖を払拭しカタルシスが生まれるオカルトもの特有の独特な快感はこの作品になかった。

あと首周りの残酷描写が多々あるので苦手な人には俄然お勧めできない代物でした。ただ単にグロテスクな描写を叩きつけて盛大に魅せるのではなく不快極まりない音響や現実と幻想が併さる浮遊感など主要キャラたちがどんどん正気を失っていく感じの体現は見事だったように感じる。特に母親の顔だけで狂気や不気味さを体現する強烈な印象も戦慄した。だいぶ使い古された超クラシックの題材だが恐怖の新たな表現の示し方に深く関心する作品でした。
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