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ヘレディタリー/継承のumisodachiのネタバレレビュー・内容・結末

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

苦手なホラーだけど、頑張って行ってきた。オカルトホラーの部類かな。グラハム家の祖母アニーが亡くなってから、残された一家に起こる奇怪な現象を描く。

祖母アニーが亡くなり、娘のアニーは複雑な感情に苛まれていた。折り合いがよくなかった祖母のことは理解できなかったが、愛してもいたのだ。とりあえず、夫と息子ピーターと娘チャーリーとの生活を粛々と再会するアニーだったが、おばあちゃん子だったチャーリーは落ち込んだ様子。そして、次なる悲劇が家族を襲う……。

怖いか怖くないかと言われたら、そんなに怖くない。というか、いわゆるホラーにありがちな演出が少ないのだ(ビックリさせるとか)。その代わり、ジワジワと不気味な描写が続く。笑いやホッとするシーンはほとんどなく、ずーっと何やら奇妙な空気に包まれているため、息苦しくなっていく。途中で起きる悲劇はかなりショッキングで、精神的に抉られる。

アニーとチャーリーの芝居というか表情が常軌を逸していて、それだけでも一見の価値ありなのだが、真相へと至る伏線がキッチリガッチリ張られているので、謎解きものとしても楽しめる。ただ……うーん。そんなに絶賛する作品かなあ?

<以下、ネタバレ>
















なぜ欧米系のホラーっていうのは、悪魔崇拝ばっかりなのか。悪魔崇拝にしないといけないルールでもあるの?結局、「妙な儀式をやってます」というオチで、正直「またかよ!」と思ってしまった。もう、そういうの飽きたよ。

ただ、『へレディタリー』に関して言うと、決してホラー要素がメインというわけではなく、あくまでも家族の映画になっている点は良かった。特に、アニーとピーターとの間にある感情的葛藤は丁寧に描かれていて、見ていて苦しかった。家族故の愛情や憎しみ、不信といったものを多角的に描き出していて、ホラーのためのホラーに終始しているわけではない。監督の実体験から発想を得ているというのにも納得。

でもなあ。ピーターが窓から身を投げるシーン以降が、私には蛇足にしか見えなくて。すべてを説明する必要ってあるのだろうか?窓の下で倒れているピーターが目を開けて、ニヤっとでもすればそれでよくない?「ペイモンの魂は男の肉体にしか宿れない」という情報は提示しているわけだし。少しの謎を残して終わることはできなかったのか?ホラーやミステリーに限らずだけど、全部説明されると冷めちゃうんだよなあ。

というのも、どうしても『哭声/コクソン』と比べてしまうからだと思う。あそこまで強烈で、謎を大きく残した作品を観てしまった後だと、「きれいに説明できてしまう」ということに物足りなさを感じてしまう。刺激不足といえばいいのかな。中途半端に見えてしまうのだ。チャーリーがどんなに異様な存在感を発揮していても、アニーの顔芸が凄まじくても、『哭声/コクソン』の嘔吐シーンや、憑りつきシーンのインパクトには敵わないんだもの。そもそも、『哭声/コクソン』の方が10倍怖いしね。
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