マクガフィン

ヘレディタリー/継承のマクガフィンのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
2.8
雰囲気重視的な映像の積み重ねで、異様で異質なテイストが漂うが、ホラーやオカルト系ジャンルが苦手なことや作品の理解力が足りないことで、中盤以降に集中力が切れる相性の悪さに。

前半の祖母・母・娘の3世帯に渡る独特な風貌。特に娘の個性が際立ち、雰囲気は抜群に良い。家族という一番ミニマムな集団で、お互いを愛したり、尊重できない引け目や、誤解されたままのすれ違いが浮かび上がる。忌み嫌うこともあるが、家族だから離れられない〈縁〉をホラーやオカルトの外層で覆う発想は良いのだが、疑惑の牽引が弱く、通奏低音的な一貫性も疑問で、全体的に間延び感は否めない。

更に、小さな別の世界のドールハウスとミニチュアを作る母の心象と別の生活空間の構築をしたいことは理解できたが、贖いないパワーに屈する人間の無常観をメタ的にしたかの説得力が足りない。愛情不足の連鎖のメタ的なことも同様で、作品の根幹が揺らいだ原因に。

中盤以降は、娘がフェードアウトしたことや、ホラー的なアクセントが少ないこと、似たトーンで感覚がマヒすることが相まって、暗さと重さのテイストが薄めに感じて、冗長に。何かが起こりそうで、何も起こらない雰囲気が充満して、上手く纏まめられるか心配することに。よって結末も、そんな類に落ち着くことで、インパクトが得られない結果に。オカルトやアイテムによる、文化圏の違いによる受け取り方の差異も大きく感じた。