おふとん

ヘレディタリー/継承のおふとんのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.8
かなり丁寧に作られた上質なホラー作品。
「近年最も怖いホラー」とか「ホラー映画史上最高傑作」とかいう批評を目にしてしまうとそこまでか、と思ってしまうけど良作には違いない。

まずオープニングからしてすごい。
シルバニアファミリーのようなミニチュアの家が映ったかと思うと段々とカメラが寄っていき、ミニチュアの部屋がクローズアップされる。すると部屋のドアがガチャリと開いていつのまにか本物の部屋になっているという、かなり映像的に凝ったことをしています。
オープニングが特に顕著なのですが、本作はこういった俯瞰的なカットと、ミニチュアのセットを度々映すせいで(トニ・コレット演じる母親はミニチュア作品を作るアーティスト)、箱庭感、作り物感が増すという不思議な雰囲気があります。

とは言え、ホラーとして怖かったかというと個人的にはそこまででは無かったです。
確かに前半のじめーっとした雰囲気や家族内の不和といった何となく嫌な感じはすごい気持ち悪かったのですが、中盤ある決定的な事件が起きて、登場人物達が狂い始めてからはもう崩壊に向かうしかないという妙な安心感があったためか、露骨な伏線や謎が散りばめられていたせいか、怖いという感情よりどうしてそうなったのかという感想が先に来たせいかそこまで怖くは無かったというのが正直なところ。

ホラー映画としては作りが丁寧すぎるのかもしれません。正直トニ・コレットのぎゃーっていう顔が1番怖い。
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