題材は嫌いではないのだが、後半からの失速が気になる。
前半は淡々と出来事を追う形で展開され、監督独特のネタも用意されておりとても観やすい。中村倫也と田中圭のダブルキャストは、今となっては奇跡としか言い様がない(撮影は18年頭)。それぞれ「らしさ」が存分に引き出されている。
一方、後半からは主人公の過去やその周囲の人々との揉め事が話の中心になり、映画のテーマである「結婚とは」「美人とは」ということについての探求が始まるが、正直言って詰めが甘い。適当にシリアスな展開にはなるのだが、どこか深刻味が足りず観ていてモヤッとしてくる。
そして、その問いに対する映画内での答えも明確にならない。問題提起の映画だったらそれでいいが、ストーリーの雰囲気から答えがあるような終わり方をしたため消化不良である。
監督の前作である「勝手にふるえてろ」と類似した点も多くあり、焼き回し感があったのも否めない。