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タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~のpherimのレビュー・感想・評価

3.5
性をめぐる衝動と抑圧の深淵が、鮮烈な白光に曝されむくりと姿を顕す映像の静けさに震撼する。“マイノリティ”や“障碍者”等の言分けが完璧に解体されるその場所で、起伏を抑え扇情を避けた語りが最後に伐り出すのは、本作を座視する私のリアルであるという構成の鋭き凄味。

主にLGBTsドキュメンタリー映画の文脈でPRされている本作、実は語りの手法が極めて特異な作品でもあり。そのベルリン国際映画祭金熊賞(最高賞)獲得は様々に考えさせられ、このキツい風潮下で一層観た甲斐覚える一篇。
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