“もう怖くないみたい。なんだか幸福。”
自分が癌なのではと疑うクレオが、占いで死を宣言された5時から、医者に検査の結果を聞きにいく7時までをリアルタイムで映し出す巨匠アニエス・ヴァルダの傑作。冒頭のタロットカードに被さるクレジットからセンスが鬼すごい。
5時から7時までのなんとも無い会話や移動をただただ映しているだけなのに本当に心地いい。特にパリの街をタクシーで走るだけのシークエンスと、バスでの会話が良い。2時間(実際には1時間半)の中でクレオはいろんな人に出会って色んな話をして、気づいたら未来に光がさしている。そんなちっぽけなんだけど美しいストーリーには今も色褪せない魅力で溢れている。
フランス人の良くも悪くも自由奔放な雰囲気に浸りたいならこれ。