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5時から7時までのクレオのBOBのレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
3.9
"ヌーベル・バーグの祖母"とも言われているアニエス・ヴァルダ監督の初期傑作。

癌の疑いがあるシャンソン歌手のクレオが、医者から診断結果を聞くまでの2時間、パリの街を練り歩く。

「みんなが私を甘やかし、誰も私を愛さない、誰も、、、」

初アニエス・ヴァルダ監督作品。

ドキュメンタリータッチの"リアルタイム映画"。タロット占い🃏から始まる5時から7時までの2時間、主人公クレオが忍び寄る死の恐怖に怯えながら、真の愛を探し求める。

映像、音楽、ファッション、インテリアと、とことんセンスが良く、映画的な語り口も好みだった。惜しむらくは、会話の内容がもうひとつピンとこなかったこと。ここさえ、クリアしていればもっと好きになれた。

魅力的な映像。カメラワークやカット割りは興味深かったし、パリの街並み、帽子屋さんやクレオの自宅のインテリア、街を行き交うパリ人のファッションまで、とことん洒落ていた。

クレオの歌う"Sans toi"(Without youの意味)♪は、ゴダールやジャック・ドゥミとも手を組むミシェル・ルグラン作曲。

登場人物たちの心の声をボイスオーバーで。帽子屋さんやカフェで、無数の鏡を使った構図。クレオの一人称視点ショット(車窓から、散策しながら)で、クレオへ向けられる街の人々の視線を。

ゴダール&アンナ・カリーナ夫妻がカメオ出演して、自前のサイレント短編映画を披露してくれる。

リチャード・リンクレイター監督の『ビフォア』トリロジーに影響を与えていそう。

タクシーメーターが車外に。アメリカではウィスキーで洗髪。ぶらさがり健康器。カエルの踊り食いを披露する大道芸人。

120
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