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5時から7時までのクレオのeiganoTOKOのネタバレレビュー・内容・結末

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

花と植物の女神フロラ。
ギリシャ神話を引用した、実存主義の考察。
死の恐怖とはなにか。
死は事実だが、死=恐怖、死ぬことはネガティブなこと、は自明と信じ込んでいる思想をひっくり返す。本質主義への反抗。
自己の選択というアニエス・ヴェルダ監督のメッセージ、しかと受け取りました。
ヌーヴェルバーグ左岸派の実験は今見ても色褪せない。素晴らしいです。

作中出てくるトーキーに、ゴダールとアンナカリーナが出てる。
仲良しね。
この映像が、女を人形として扱ってるという痛烈なイヤミで笑った。
ゴダールや、旦那のジャック・ドゥミのほうが注目されてるし、お怒りはごもっともでござる。

ところで「5時から7時まで」というのはフランスでは不倫や浮気の隠語だ、という台詞が映画「5時から7時の恋人のカンケイ」に出てくるんだけど、本当なのかな?
事実なら、前半は不倫相手に翻弄され、後半は純粋な愛に死の恐怖から救われるという解釈であってんのかな?
ただ、ギリシャ神話によると、西風の神ゼピュロスがフロラをイタリアに連れて行き、フロラは花の神になったそうだけど、ゼピュロスは多くの妻を迎えていたという説がある。
そう考えるととても不穏なラスト。
監督いじわるだね。
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