こんなにすごい監督を見逃してたのかー!
初アニエス・ヴァルダ。
癌の診断を待ち、死を意識するシャンソン歌手クレオの2時間。
「わたしが美しい限り、わたしは生きている」
死を意識した、という体験はないのに、なんだか分かってしまう。
こんなご時世だからというのもあるけれど・・・
クレオの視点から、街の人々の視線が思わせぶりに見えたり、
カフェを訪れる人々の、今まで気にも留めなかった会話が気になったり、
意外に、死というのは意識すると日常の中にあるものかもしれなかったり・・・
(アルジェリア戦争も出てくるし)
クレオをも客観視するようなカメラワークが混じりつつ、
クレオが歌に没入する中では「クレオの心中に浮かぶクレオ」を見ている気分にもなったり。
なんといっても「シェルブール」などを手がけたミシェルルグランが登場し、
一緒にピアノを弾いて歌うのが見所!
彼のメロディってなんであんなに素晴らしいんだろう。
それ以外については、もう、是非、見ていただきたい。
この頃の監督さんの方が、顔、というものを丁寧に撮っていたのかなあ。
表情が、心に刻まれる感じ。