回想シーンでご飯3杯いける

劇場版めんたいぴりりの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

劇場版めんたいぴりり(2018年製作の映画)
3.2
博多の老舗「ふくや」の創始者をモデルに、苦労話や商売の成功等を、終戦直後の復興を背景にしながら描いた作品。元々は九州の地方局で作られた連続ドラマだったようだが、後に劇場版として全国公開された。

僕が住む大阪でもJR環状線を題材にした連続ドラマが放送された事があり、とても楽しんだ。地方局と言えば朝のワイドショーや天気予報が真っ先に浮かぶが、ご当地のネタや笑いのセンスをふんだんに盛り込んだドラマでこそ、その真価を発揮するのではないかと思っている。

この「めんたいぴりり」も昭和の人情物語といった趣きで、ご当地グルメの代表である明太子が人々に親しまれるようになる経緯を見てるだけで楽しいし、博多華丸のナチュラルな方言が生み出す笑いの要素も良いアクセントになっている。

終盤でいきなり主人公の戦友と思われる兵士の幽霊が3人登場したのには驚いた。後で調べて分かったのだが、本作はドラマの「第二部」に当たるパートを編集したもので、ドラマ版には、それよりも前の時代、主人公が釜山~満州で過ごした戦乱期を描いた「第一部」が存在するらしいのだ。

この劇場版では、前半部分で釜山や満州の話に触れていないので、終盤の展開だけが浮いているように思える。考えてみれば明太子のルーツも朝鮮にあるわけで、その辺りも含めて、明太子の豆知識が学べるような要素があれば良かったのに、と思う。