ノラネコの呑んで観るシネマ

詩季織々のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

詩季織々(2018年製作の映画)
4.3
現在中国の三都市を舞台に、今時の若者たちを描く日中合作3話オムニバス。
アニメーション制作がコミックウェーブというだけでなく、中国人監督たちのリスペクトがビンビンに感じられ凄く新海誠っぽい。
日本人監督の第2話が、一番新海スタイルから離れようとしてるのが面白い。
第1話「陽だまりの朝食」は大人になった主人公が毎朝朝食に食べていたソウルフード、ビーフンについて語る。
とりあえずイ・シャオシン監督が死ぬほどビーフン好きなのが伝わってくる。
この味覚と郷愁が合体した感覚、香川県人のうどん愛に近いものがある。
竹内良貴監督の第2話「小さなファッションショー」は、これだけ姉妹の話なので、ちょっと毛色が違う。
そろそろベテランの域に足を踏み入れようとする、トップモデルの成長物語で、よく出来てるがローカル色は強くない。
ファッション業界の男がオネエっぽいのは、世界中共通なんか?
リ・ハオリン監督の第3話「上海恋」は掛け違えてしまったボタンを巡る、切ない初恋物語。
「秒速5センチメートル」にオマージュを捧げたリリカルな作品だが、きちんと本歌取りして独自の味わいに仕上げている。
普遍性を持ちながら、上海ならではの味わいが良い。
どの話も、登場人物が中国名じゃなければ、日本の作品と見分けがつかないが、これはやはりダイナミックに変貌する現代中国以外では成立しない作品。
主人公たちは大体30歳くらいなのだけど、彼らが10代の頃とはもう街の風景がガラッと違うのだ。
ネトフリ案件ですぐ配信始まるが、美しい映像は劇場で観ておきたい。
とりあえず猛烈に湖南ビーフン食べたくなった。
ブログ記事:
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