ガーコ

洗骨のガーコのレビュー・感想・評価

洗骨(2018年製作の映画)
5.0
生と死の狭間の島で生きる沖縄の人々。
彼らの生命力の強さに感動しました。

東側に島民が暮らし、西側にお墓を置いている。
この島の作りは、まさにあの世とこの世が並列した神秘的な世界。

人は死んでしまうと火葬するのが一般的ですが、沖縄では土葬するのですね。

火葬するとあっという間に白く脆く、ただの灰になってしまうものですが、この島では違います。

沖縄の粟国島に古くからある伝統的な風習、それが『洗骨』。
死んだ人を箱の中に入れて洞穴に入れ、4年経ったら墓から掘り出し骨を洗う風習が今も親から子へと伝承されています。

一見すると恐ろしいものに聞こえますが、洗骨はとても神聖な儀式。

骨を丁寧に取り出して、水で一つ一つ洗い清めてゆくことは、大切な相手の死を肌で感じることのできる重要な時間です。

幼い子供も、愛する夫も、叔父や叔母も、みんな全員で、その死を肌で感じ、今ある命を感じていく。

洗骨とは、死を感じることで生を尊ぶ素晴らしい風習なのだと実感しました。

こんなマニアックな風習を映画化しようとしたのが、ガレッジセールのゴリさんこと、照屋千之さん。

お笑い芸人が映画⁈
と、軽く見ていましたが、とんでもない!
家族の愛を、命の尊さをたくさん感じさせて貰いました。

沖縄の美しい景色と、素敵な民謡の流れる中で、人々がゆったりと生活する姿。
まさにこの島は楽園ですね!

そんな素晴らしい作品に、ちょこちょこ笑う要素を取り入れてくる所は、流石芸人の血を持つゴリさん(笑)

お笑い担当として、シリアスな雰囲気を大島蓉子さんがチョイチョイ笑いに変えてくれるのが素敵でした(笑)
彼女なくしてこの映画はありえない!
その悩みを何もかも吹き飛ばしてくれるような、豪快さが心地よかったです!

この映画では、沖縄の素晴らしい景色と、懐の深いおばさん達に目一杯心癒されまくりでした。




今回の試写会では、会場には若い人達ばかり!
なるほど、若い人達が見ることによって、洗骨という儀式がより一層新鮮に感じられるのかもしれません。

出産のシーンも、葬いの儀式も、若いエネルギーある人達が見ることで、より心打たれるものがあるのだと思います。

刺激的なシーンも多いからこそ、若者の心を揺さぶってくれそうな予感です。

Filmarks さん、素敵な映画をありがとうございました!
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