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洗骨のTSのレビュー・感想・評価

洗骨(2018年製作の映画)
3.8
【再生の物語】81点
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監督:照屋年之
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:111分
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2019年劇場鑑賞9本目。
「洗骨」という葬儀の風習が沖縄のごく一部の島でされている模様。法律や衛生面から沖縄本島では禁止されたようですが、今作の舞台となっている粟国島では普通にされているようです。文字通り骨を洗うということ。だいたい想像出来るかもしれませんが、棺桶にいれて4年経ってからもう一度棺桶から出し、骨を遺族が丁寧に汚れを洗い流すというものなのです。これは中々慣れていないと出来ない風習です。沖縄離島の死生観を垣間見たとともに、家族の再生の物語をじっくり味わうことが出来ました。中々の良作だと思われます。

沖縄の離島、粟国島に住む新城家。ある日、信綱の妻である恵美子が亡くなってしまい、葬儀を行う。この島には「洗骨」という葬儀風習があったのだが。。

葬儀を扱う作品ですがユーモラスに描かれています。特に信綱の姉である信子や、優子の婚約者である亮司が良いキャラをしています。亮司を誰が演じているのかはお楽しみに。さて、冒頭で恵美子が亡くなっているため、今作の終盤までは、その4年後の洗骨を行う直前を描いたものになっています。久々に帰ってきた優子は妊娠しているし、恵美子をなくした信綱は相変わらずおどおどしているし、てんやわんやの状態。そこに信子らが厳しいツッコミを入れてくるため見ている方はクスっと笑えてしまうでしょう。

ところがどの鑑賞者も予見している通り、終盤はやや重い内容となります。恵美子の変わり果てた姿がある棺桶を開けなければならないため、彼らも緊迫した様子でそれに挑みます。生々しい光景なのですが、不思議と怖くない。むしろ神秘的に感じてしまいます。なるほど、4年の時を経て再び家族が集まり、祖先に敬意を払う。これは再生の物語なのかもしれないと感じました。
こう見たら本当に人間っておかしな生き物であります。何のために遺体をそこに葬るのか。何のためにそんな風習を残しているのか。同じ人間でも死生観は多種多様。流石に真似たいとは思いませんが、これも尊重されるべき文化なのだなと感じました。クスッと笑いながらも涙を少し流したい。そんな方にはオススメの一品です。
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