ラウぺ

洗骨のラウぺのレビュー・感想・評価

洗骨(2018年製作の映画)
4.0
ゴリって誰?な私ですが、この映画はなかなかの良作。

母が死んで4年、父は酒浸り、娘は未婚で身重、長男は何事か問題を抱えている様子。
バラバラの家族が母の洗骨を機に次第に絆を取り戻す・・・というベタなストーリーですが、泣かせるところと笑い、緩急のバランス、洗骨の場面を物語のピークにもっていく語りの巧みさはお笑い芸人の余芸などと言ったら怒られてしまうでしょう。

なかでも奥田瑛二のダメ人間ぶりから妻を亡くした男の悲しみが滲み出るところなど、それだけでもグッと来るものがありました。
長男役の筒井道隆も久しぶりに姿を見た気がしましたが、最初は井浦新っぽいぶっきらぼうな演技から次第に昔の筒井道隆っぽい柔らかな表情が現われるところなど、ちょっと難しい立ち位置の中で良い演技をしていると思いました。
水崎綾女も「光」の頃は役があまり板についている感じがしなかったのですが、今回は大変印象的なヒロインを好演していましたし、大島蓉子をはじめ鈴木Q太郎など、個性的な脇役もなかなかの好演が光りました。

ちょっとベタ過ぎてアート系の作品のような捻りはまったくないので、全てが予定調和の中に納まる展開は新鮮味に欠けるのも確かですが、ハートフルなドラマとして鉄板な仕上がりの本作が劇場で人気なのも納得の内容だと思いました。
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