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パッドマン 5億人の女性を救った男のneroのレビュー・感想・評価

3.5
生理用ナプキン製造者の大富豪成功物語、ではなく、手生産システムを原価で販売して、インド(世界も)の全女性の生き方までもイノベートしてしまった男の物語。

3〜40年くらい前の話かと思えば、なんと舞台は2001年! それが一番の驚きだった。技術屋ゆえの合理性と妻への愛情からナプキンの開発に取り組んだラクシュミ。すでに世界的には吸水ポリマーの導入など高機能化へ進んでいたと思うが、彼はより優れた製品を目指すのではなく、あくまでも廉価に提供できるフツウの製品をという目標からブレることはない。技術屋らしいアプローチにも感心した。
ようやく完成しても、ビジネスの成功に目もくれないその気高さには、観ている自分が後ろめたくなるほど。”歯ブラシに金の取っ手”の例えが沁みたねえ。
ついには既成品の30分の1近い低価格のナプキンを女性自らが作って売る新たなシステムを普及させ、インドにおける女性の置かれた地位と因習に大きな一石を投じた。国連でのヘタな英語の演説は泣かせる。

刷り込まれた地方社会の同調圧力とはいえ、変態扱いされて排斥される彼に、最愛の奥さんの助けが得られないってのは辛かねえ。一方で都会育ちのパリーのリベラルさが、彼を救い、そしてインドの全女性に希望をもたらす。彼女もまた気高い心の持ち主だった。
じんわりと心洗われる感動作だが湿っぽくはなく、テーマソングの「♪MADでMADなPADMAN♪」ってリフレインが、インド映画らしい能天気なほどの明るさで最後に笑顔にしてくれる。

奥さんも美人だが成功の妖精パリーちゃんが実に美しい。インド映画の楽しみのひとつだね。
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