スワヒリ亭こゆう

パッドマン 5億人の女性を救った男のスワヒリ亭こゆうのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりにインド映画を観ました。
映画館で観たのは初かな?


本作は評判も良くて気になっていた作品です。


本作は安価な生理用ナプキンをインドで作った人の映画くらいに思ってました。
でももっと奥が深かったですね。


まず日本では当たり前に普及している生理用ナプキンがインドではほとんど使われていなくて、富裕層の女性だけが使ってるらしいです。僕が何より驚いたのが本作が2001年、つまり21世紀の話だという点ですよね。
何十年前に生理用ナプキンを発明した人の話ではないんです。
現代で生理用ナプキンを普及させた人の話なんですね。

宗教的な部分もありますが女性は生理中は家の中で暮らすことも禁じられていてベランダみたいな所で暮らします。
その間、学校にも仕事にも行けない訳です。
生理を穢れとし生理用ナプキンを作る夫を恥だとする妻。
男性にとっては生理を理解してあげたいけど踏み込んではいけない領域なのは度合いは違えど日本も一緒ですかね。

正直、序盤のパッドマンが妻に嫌がられてるのに生理用ナプキンを作るのに必死になってる辺りはしんどかったかなぁ。
終盤へのフリだと分かっていても近所の初潮を迎えた女の子に夜な夜な生理用ナプキンを渡しに行くあたりは気持ち悪いですよ。


村を出て生理用ナプキンを作るために勉強して借金してる所あたりからは面白くなってきました。
努力が報われていく様子は観てて爽快ですね。

それとパティが良かった。
パッドマンの妻役の女優も良かったです。
インドの女優さんはキレイな人が本当に多いです。
パティが出てくる事で生理用ナプキンを女性に使ってもらいやすくなったし、そもそもオジさんが一人で生理用ナプキンを作って売るのは土台無理があります。
女性専用車両で物を売るようなもんです。


本作を観てて生理用ナプキンの機械を作るシーンがありました。
デカイ製造機を4つの工程に分けてそれぞれ機械を別にするんです。
なるべく手動でやる事で低コストに抑えられるとの事です。
コレを観たときに、⁇ってなったんです。
デカくて全部自動で作る製造機の方が良いんじゃないって思ったんです。
ですけど、ココがこの映画の素晴らしいところで、低コストにする事で安価で生理用ナプキンを販売できるだけじゃなくて、製造機を低コストで作る事で色んな村に普及しやすくなり、手動で作業する事で女性の働く場所も提供できる。
ココが深いと思いました。
ただ全自動で大量生産して安く売るだけではインドの貧困は解決しない。
それよりも女性が働く場所を確保する事で社会的に強くなった方が国は豊かになる事をパッドマンは教えてくれました。
コレは素晴らしいです。


ビジネスを扱った作品は日本にも多々ありますが、ここまで明るく楽しい映画は無いし、何より深い。
素晴らしい映画だと思いました。