むらみさ

パッドマン 5億人の女性を救った男のむらみさのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

本作の素晴らしさは140分かけて丹念に、ラクシュミカント氏の純粋な熱意がかたちになっていく過程を見せてくれたこと。これに尽きます。
主人公ラクシュミさんご本人の慈愛に満ちた女性性へ注ぐ敬愛の念は心から尊敬するし、それが功をなして村々の女性を救っていったことはすばらしい!

すばらしいのだけど……

彼のエンジニアリングに対するコンペの授与、までは喜べても、国連NY本部の称賛や更には世界的に評価されたことが、強固な女性性への押し付けや、彼本人の持つ人間を敬う本質を評価したことにはならない、かな……という。
そのねじれが観賞後のモヤモヤなのでしょうね。

‘男性社会’と‘家庭’という檻のなかで息を殺している村の女性たちが自分たちの手で喜びを得ていく場面が、女性性への歩み寄りの一歩という意味でやはりグッときたし、パリーのお父さんの母性の語りの場面も好きだったけれど。

強固な‘村’社会では彼本人の本質を称えるよりも村の評価をあげたこと。
その称賛に刷り変わっているのが、彼の素晴らしさを前にすると色褪せて見え、しばしば個人の成功はそういう形で消費されがちだなぁ…という結論に至るのでした。

本質を愛してくれたパリーとの関係が成熟したとしても、社会的な縛りが彼個人を苦しめる結果になったかもしれないし、本当に…個人が認められる幸せのかたちって何なのだろう
とも考えてしまいました。
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