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ペンギン・ハイウェイのlpのレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
3.0
東宝のアニメ部門は一体どうしたのだろうか?『未来のミライ』に続いて、またしても抽象的な展開で勝負するアニメーションの登場だ!しかも今回は「家族の物語」という話の輪郭が見えていた『未来のミライ』以上に自由で、掴み所が無い!

理屈っぽくて賢くも生意気な10歳の少年が主人公。彼の暮らす町に謎のペンギンが現れ・・・という話。
個人的にはこの生意気な少年が、人間的に少しだけ成長する話と解釈。謎の「お姉さん」への想い、おっぱいへの執着、「子ども達だけの秘密」を守るための大人との折衝、未知なる大きな課題への挑戦、生え代わる歯。全てが成長に必要な通過儀礼であり、子どもから大人へ到るための「ペンギン・ハイウェイ」になっているように感じた。

SF的な要素の解釈については、深田晃司の『海を駆ける』と同様に「自然の擬人化」には目配せをしているように感じた。
今作で少年たちが向き合う球体は、自然災害や生物の生死など、現時点では解明不能な部分を残す「自然の摂理」のメタファーに、イメージの重なりから感じられた。そして最後に少年たちは、その「解明不能」な部分の存在も受け入れ、その解明に向けて謎と並走する道を選ぶ。この一連の流れが、これもまた自然の摂理である「成長」を、子ども達が受け入れたことに繋がると感じたところから、上記のように解釈した。

映画全体として悪くはなかったけれど、119分は長い。大人向けの話かと思いきや、子ども向けのシークエンスが唐突に挿入される(そもそも大人に向けた作品なのか、子どもに向けた作品なのかが曖昧ではあるけれど)こともあり、酷く間延びした映画に感じた。
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