マクガフィン

ペンギン・ハイウェイのマクガフィンのレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
4.1
主人公の意識高い系少年は、好奇心旺盛で子供らしからぬ台詞回しが可笑しく、おっぱい好き。大人びた一面を持つが、まだ幼い子供キャラで思春期直前の構築が上手い。原作未読。

それらの特徴が絡む会話がアクセントになり、ペンギンが登場する違和感を残しつつ、何気ないひと夏の日常的な演出が良い。後半への展開にも効果的に。秘密の共有による子供達の仲間意識。秘密基地のような情景の草原。子供の行動を尊重してから、大人の事情で覆す模様などを取り入れることが上手い。

謎に対して好奇心が膨らませながら目をキラキラ輝かせる模様は、固定観念に縛られない柔軟なことで、成長するにつれていつの間にか失っていくもの。常識や習慣に縛られている生活では、目がくらむような眩い輝きに、好奇心や探求心を刺激されるかのように。

後半に世界観や妄想が広がるような、テイストが一変する非日常的なSFパートはアニメならではに。森を抜けた草原に球体の「海」が浮いているのだが、巡回する川の源流がなく、川のコアにあるような設定も効果的に。子供たちは球体を海と呼びが、一般的に穴の部分の方を海だと思い込んでいることと反転する設定も印象的に。研究と成長の過程がリンクする模様や、おっぱいをメタ的にした、「世界は謎だらけで、興味深く・面白く・素敵に」のテーマに唸らされる。

決して手に入らないものを探索し希求している模様が実らない初恋や通過儀礼とリンクして甘酸っぱい切なさを漂わせるが、それでも健気でさわやかに前を向く、一夏の成長譚に感銘を受ける。