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ペンギン・ハイウェイのFrankTannockのレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
4.4
ここ数年見てきた長編アニメーションはシリーズ物や大御所監督作品ばかりだったので、久しぶりに新鮮な秀作に出会えた気がする。
少年少女の視点を借りて一夏を描写するのはいつのまにか日本アニメの一大ジャンルになってしまいましたね(好きだからいいのだけれど)。日常的な一場面をアニメ表現に乗せるとやっぱり質感が出て好きです。

コンプレックスを抱えた平凡な人物像が大衆に受けやすい昨今の映画事情ですが、本作で驚いたのが主人公が限りなく理想に近い子どもであること。子供ながらの感受性と強い好奇心を絶妙な感覚で持ち合わせていて、それを支えてくれる人がたくさんいる。越えるべき明確なハードルがあり、確かな成長が先に待っている。
これだけ言うとピクサーなんかでもよくみる嫌らしい構成にも思えるけれど、何故だかそういう「臭み」は感じない。
それはきっと監督が少年の実直さを端正に描写し、大人の隠しきれない子供へのエゴイズムを徹底して排除したから、なのかもしれない。

素敵な作品でした。
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