ニクガタナ

ペンギン・ハイウェイのニクガタナのレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
3.6
早熟な秀才おっぱい星人アオヤマくん(小4)が憧れの歯科助手のおねいさんと街の危機を救う夏のせつない冒険譚。森見登美彦の原作未読だが、日本SF大賞受賞作?映画はだいぶファンタジックな印象だったけど。子どもが観ても楽しめるとは思うが、これは大人が子ども時代を思い、感傷に浸る映画かな。現代設定にしないで40年前くらい昔の話にすれば良いのに。奈良県生駒市の舞台設定と美術は都市過ぎず、田舎過ぎずいい感じ。最近子供役の芝居、演出にうるさくなっていて、アオヤマくんは大変上手かったが、友人のウチダくんがかなり微妙。やたらと転んでは間繋ぎにハニャフニャ言い過ぎ。そんな奴はいない!…はず。藤子不二雄かよと思うようなわかりやすいいじめっ子もちょっと時代錯誤な気が。おねいさんが謎すぎるが、演じる蒼井優は相変わらず上手い。かすれ気味の独特な声は他では得難くいい感じ。西島秀俊演じるアオヤマくんのお父さんはデザイン含め優雅すぎ、人間味が無くてちょっと気持ち悪い。宮崎作品からいろいろ学んでるなぁと感じるクライマックスの浮遊感はいいんだが、もうちょっと重力、揚力を感じられるとなお良かった。そうゆう物理で飛んでないんだろうけどさ。全体的にレイアウトが上手くて感心。見上げた鉄塔や給水塔は庵野さんのお株を奪うような美しさで効いてた。泣けるほどではなかったが、コミュニティを守るための自己犠牲と喪失感は大好物。海に突っ込んだ先のマグリットの画のような「あの世」感がなかなかいい雰囲気。ドラマをちょうどよく盛り上げる阿部海太郎の音楽も多彩な楽器使いで大変良かった。
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