シガーandシュガー

ペンギン・ハイウェイのシガーandシュガーのレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
-
女の子は、初潮という衝撃的な身体の変化を経ることで、昨日までの少女の自分とハッキリお別れする意識が持てるものだと個人的には思っているのだけど、男の子はどうなのかなあと思っていました。
アオヤマくんで言えば、彼はお姉さんを守りたかったけれど、結果としては自分の無力さをかみしめるしかなくて、だからもっと賢く強くなって、お姉さんにもう一度会いに行こうという強い決意を抱いたところで、一段大人になったのだろうと思うのですが、思えば子ども時代は何かしらの痛みに押し上げられて、少しずつ大人になっていったんだった。その痛みの一つ一つを思い出すと思わず頭を抱えてしまったりするけれど、この映画を見ているうちに、今ここで、息子と並んでスクリーンを見ている自分に続いている、デコボコで曲がりまくったペンギン・ハイウェイも、そんなに悪くないかなあと思えたりした。本当はみっともなくてやり直したいけれど。でもそのみっともなさも、この映画を見てると受け止められるというか爽やかに前向きな気持ちになれる。

アオヤマくんの数々のプロジェクトノートがきれいで楽しそうで、もっと眺めていたかったな。うん、「ノートに書く」という行動も、なんだか初心に返されたようで、そこもとても個人的なお気に入りポイント。アオヤマくんのお父さんも素敵だった。住宅街も、学校も、同級生の子たちも、開発途中の空き地も歯医者も森も草原も…描かれている世界が、私の趣味とは違うのだけど全部好ましかった。そう、好ましかったな。私はこの世界が好き。もう一度観たいな。