図師雪鷹

ペンギン・ハイウェイの図師雪鷹のレビュー・感想・評価

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)
5.0
正直、未来のミライの何倍も面白かったです。



もっと早く見れば良かったと心の底から後悔。


小学四年生のアオヤマ君は、日々世界について勉強し、偉い大人になろうと努力する男の子。言動は良い意味でも悪い意味でも賢く、味方もいれば敵もいる。
彼は、勉強していて暇がないからと歯を磨かず、よく歯科医院にお世話になっているが、そこで働いているお姉さんに恋心を抱いている。常日頃勉強しているアオヤマくんだが、お姉さんについても考察をしていて、特におっぱいに関する記述は捗るばかりだ。

そんななか、2人が住む街に、突然たくさんのペンギンが現れた。しかも、そのペンギンというのはお姉さんが出していることが発覚し、アオヤマ君はますますお姉さんに興味を持つ。ただ、お姉さんにもペンギンが出てくる原因がよくわからない。一筋縄ではいかないこの問題に、アオヤマ君と探険仲間、そしてお姉さんは取り組んでいくこととなった。


すごい楽しく鑑賞できた。これが小学生の一夏の経験というものなのか。世界観が全体的にみずみずしい。ペンギンがかわいい。お姉さんがかわいい。素晴らしい。
だが、我々観る側は、彼らの世界を全て知ることはできない。それだからこそ、この映画は面白かった。謎は謎のまま、アオヤマ君の明日への糧となる。
基本的に、カメラは彼らを第三者視点から見つめるが、重大なシーンでは、出会いや別れ、感情の変化などを自分自身が経験しているような感覚になり、全て明かされることのないこの世界観について真剣に解釈したくなった。こういう作り方をしている映画はたくさんありそうだが、この映画は特に作り方がうまかったと思う。


お姉さんは結局なんだったのだろう。結局それも完全に明かされなかった。私は、彼女は決して完全超越的な存在ではなく、人として人生を生きた人物だと感じた。





全てが終わった街中にも彼らの気配はする。それは、少年少女の永遠の夢・憧憬として残り続けるのだろう。
図師雪鷹

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