イマジンカイザー

サーホーのイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

サーホー(2019年製作の映画)
3.8
『バーフバリ』で本国どころか世界にその名を知らしめた制作チーム、主演のプラバースの凄さを全面に押し出した痛快B級バトルアクション。話筋の作りが八十年代後半〜九十年代前半の米アクション映画らしく出来ているので、そちらのヒトにもおすすめできる一本。

舞台を現代に移してもなお、銃がメインの社会になりながらも、その鍛え抜かれた肉体と機転、知恵者でチャーミングな魅力は何一つ衰えないんだからまァすごい。この辺は作り手が撮り方わかってるんだろうなあ。
周到な準備で他を出し抜き、惚れたオンナにゃあ滅法弱く、常にユーモアを忘れず振る舞うキャラクター。
これはつまり『義賊』の映画なのかな、と思いきや、なる程こうやって裏切るか、という半ばからの転換。

潤沢な人員と予算で手当たり次第ぶっ壊し、遥かに大きな相手を技で捩じ伏せるわかりやすい筋肉映画ながら、主人公を含めて三つの勢力がそれぞれ動き続けており、これらをカッティングで見せる部分はなかなか複雑。というかバーフバリのように明朗なストーリーを期待して観に来ると、先読み先出し、後々実はこうだったんです!って部分が幾重にも重なっていて、少し気を抜くと話についてゆけなくなる。

とはいえ、ワンワンアーミーというべきところまで極まったサーホーのアクションにうっとり。脇を固める連中にも相応のドラマが用意されていて、この辺はバーフバリよりもマフィア・ギャング映画らしさが出ているかなと。
当然のごとくダンスシーンも多数実装。比較的空気を読んだタイミングで入れてくるものから、だいぶ予算かかってるんだろうなあってロケーションのものまで盛り沢山。

最後まで観終わり、サーホーの心境・出自・境遇を考えるとまた見方の変わる、複数回鑑賞を想定した映画でございました。