菩薩

嵐電の菩薩のレビュー・感想・評価

嵐電(2019年製作の映画)
4.1
『ジョギング〜』も『ゾン〜』も無理無理で、もう一生鈴木卓爾監督作は観られない…と思っていたから当時スルーしてしまったが、なんだよ…こんなピュアラブストーリーも撮れんのかよ…とビビる、めちゃくちゃ好きなやつだった。ファンタジーが全面に押し出されていた過去作に比べればリアルな話を押し進める為の添え物として機能しており、過去・現在・そしておそらく近い未来に叶うかもしれない三組の恋模様を優しく見守りそして繋ぐ霊性を帯びた嵐電の姿が映えるし、媒介としてのフィルムもありがちとは言えやはりあり。俺くらいになると深津絵里と大西礼芳の見分けがまるでつかないが、三重出身らしい彼女の京都弁の語感も耳障りがよく、呪いの様な都市伝説を振り切って狐顔の彼女と狸顔の俳優がやがて結ばれるであろう事を願ってしまう自分がいる。虚実入り混じりでどこがどうとも言えないが、それすらも「狐と狸に化かされた」感覚を味わえて良い。劇中劇は流石にカメ止めに引っ張られ過ぎでは…?にしても大西礼芳めちゃくちゃ良いな…。鈴木卓爾やっぱ寺山修司好きなんだな。
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