ゆめちん

エヴァのゆめちんのレビュー・感想・評価

エヴァ(2018年製作の映画)
3.5
エヴァ EVA

他人の戯曲を盗んで発表したことで、一躍成功をつかんだベルトラン(ギャスパー・ウリエル)が、あるきっかけで娼婦エヴァ(イザベル・ユペール)と出会い、彼女に翻弄されながらの官能と崩壊を美しく描いた作品。

"エル ELLE" を彷彿とさせる、いやそれ以上のイザベル・ユペールの危険な雰囲気を醸し出した "魔性の女っぷり" を、今回もたっぷり味わえる映画でした。

"すべての男たちが、この女(娼婦)に狂わされる" というキャッチコピー、危険な雰囲気、妖しさ、欲望、嫉妬、嘘、そんな晴れることがない不穏な空気の中で、エヴァが全く怯んだり動揺したりする様子を見せず、毅然とした立ち振る舞う姿が、男性の心を惹きつけ、翻弄され、狂わせていくのでしょうか?

他人の才能で得た名声、抑えられない欲望に嘘を重ねていく軽薄さ、自分自身だけでなく周囲をも巻き込み崩壊していく、ベルトランの行動がすべてを引き起こす、ただそれだけなのに。エヴァもその被害者なのかもしれません。

含みのある美貌から、二度の人差し指を唇に当てて見つめる仕草、恐怖を覚えるような妖艶さを最後まで残しながらのエンディングは見事でした。
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