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希望の灯りの白のレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
4.5
日暮れ時か夜明けか、灰色の空と何もない平地が広がり、遠くで車が行き交っている。
東西再統一で置き去りにされた人達の哀しみを、スーパーマーケットの灯りが優しく包み込む。
「美しく青きドナウ」が流れる中、照明を落とした店内でフォークリフトがワルツを踊るように通路を行き交う優美さとは裏腹に、物語には寂しさが声を潜めている。格差社会の負け組にとって、孤独感は経済的豊かの恩恵を被ることよりも重大なのかもしれない。
やがて決定的に光が当たる分断の傷痕を見て、この職場すらもドイツのノスタルジーなのだと観客は悟る。他の従業員が各々悩みを抱きながらも労働で連帯する心温まる世界が、スマホとインターネットによって繋がりが益々希薄になった現代に果たして蘇りうるだろうか。
硬い寒色形のルックの画面に灯る光源と暗部に、幸せの意味を探した。
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