希望の灯りのネタバレレビュー・内容・結末

「希望の灯り」に投稿されたネタバレ・内容・結末

《作品概要》
ベルリンの壁崩壊後、旧東ドイツの巨大スーパーで働く無口で体にタトゥーを入れた新人従業員クリスティアン。彼は上司・ブルーノの指導のもと、在庫管理部に配属されるが、ある日、菓子部で働く魅力的な年上女性マリオンに一目惚れしてしまい……。

《感想》
この作品の伝えたいことは感じられる。ベルリンの壁崩壊前のあの頃の旧東ドイツ時代は良かった。最終的にクリスティアンの上司・ブルーノが自殺をするくらいあのトラック運転手時代が忘れられないとのことなので、相当な思い入れがあったのでしょう。

しかし、私は日本人かつ、リアルタイムでその時代を体験していないので、その感情を理解・共感することは残念ながら出来なかった。

情報によると、この作品の監督トーマス・スチューバーさんは、旧東ドイツ生まれで、彼のような旧東ドイツに関わりが深い人らでなければ、この作品が伝えたいことに深く理解・共感は到底できないことでしょう。

ただ良い映画だったし、作風や世界観など凄い自分好みでした。平凡な日常・仕事の様子を切り取っただけの作品なので地味ではあるけれど、ほっと落ち着けて安らぎを感じられる。

閉鎖的な空間だけど、個性的で優しい仲間たちがいる温かい職場。そこには心地良い時間が流れていた。
コーヒー機の前での、マリオンとの心の距離感が近づく音・遠のく音を表しているんだと思っていた波の音、最後はそこに繋がるのか…。音響が天才。
音にも映像にも細やかに気を配っている映画は見ていて楽しい。映画と運動の相性の良さを再認識。フォークリフトの運動をとらえるカメラワークと構図が美しい。

序盤からしっかりと語られるわけではない主人公クリスティアンの背景が、余計な説明によってではなく想像力を喚起させる形で徐々に浮き彫りになっていく様に美学を感じる。これは現実世界で人物を理解するプロセスに似ているので、キャラクターがより生き生きと刻まれる。クリスティアンより更に語られることのない周囲のキャラクター達もそれぞれが「生きている」存在としてしっかり刻み付けられる。

この映画でも現実世界でも人物を理解するため、知るためには想像力を駆使するしかない。ブルーノの自殺は誰も予期できず突然訪れるが、前兆はある。耳をすまさなければ聞こえなかった波の音のように。大切なのは目を配ること、耳をすますこと、意識すること、それらを諦めないこと。
人が明日も生きていこうと思えるには何が必要なのだろう。

毎朝の挨拶や、コーヒーブレイク。仲間とこっそり吸うタバコ。
好きな人と交わした言葉。
フォークリフトの運転が出来るようになったこと。それを喜んでくれる仲間。
1日の終わり、顔なじみのバスの運転手と交わす、「良い一日だった」。

ささやかな日常の中にある、大切なことを積み重ねて、そうやって灯りを灯しながら生きていく。
この映画で映し出されているのは、そういうものだと思う。


何でも買えそうな、巨大なスパーマーケット。
その在庫担当の新人、クリスティアンはタトゥーがある訳アリな人間。
ブルーノを始めとする職場の同僚は、無口な彼を疎外することなく一緒に働いている。
クリスティアンには気になる同僚女性(マリオン)もでき、日常は少しずつ進んでいく。

途中、ブルーノとの会話から、彼とその仲間が、東西ドイツ統一後、長距離トラックの運転手から、今の仕事に転職したことが分かる。運送の仕事を懐かしがるブルーノ。その時代、その場所を生きた人間にしか分からない感情がそこにある。

終盤、自分の家にクリスティアンを誘うブルーノ。その家の、灯りがほとんど無い、取り残されたような寂しさ。酒を酌み交わしながら、クリスティアンの訳アリ部分(少年時代、前科があること)を聞いても、静かに受け入れる。
そんな風に人に優しく出来るブルーノは、その後、自殺してしまう。あの寂しい家で、彼は、自分自身には優しく出来なかったんだ。そう思うと哀しい。

マリオンとクリスティアンの関係は、マリオンが既婚者(だけれど、夫と上手く行っていないらしい)ということもあって一筋縄ではいかない。それでも、廃棄対象のお菓子から作った誕生日ケーキ、ささやかなクリスマスパーティーと、ほのかに温かいエピソードが続く(クリスティアンがマリオンの家に無断で入り込むエピソードがあり、そこだけ私には消化不良だった)。

ラスト。マリオンはクリスティアンに、ブルーノから教わった、フォークリフトのアームを動かすと波の音か聞こえる、というのをやってみせる。一緒に働いていた、もう会えない人の思い出を、二人は共有し、また明日も生きていく。(休憩室の壁に描かれているのは、ヤシの木でリンクしている?)


地味な作品だと思うが、クラシックを始めとした劇伴もとても良い。
観た後、明日も生きていける灯りが、私にも灯った。そんな気がした。
舞台はドイツ東部ライプチヒ近郊の巨大なスーパーマーケット。

建設現場をクビになった無口な27歳の青年クリスティアンは在庫管理担当として働き始め慣れないフォークリフトの運転などに悪戦苦闘する。

運転などを教わる飲料担当の54歳のブルーノを父のように慕い菓子担当の39歳のマリオンに静かに惹かれるうち温かい同僚たちがそれぞれ抱える影に触れてゆく。



「売れるまでここで泳ぎ続けるんだ」
狭い水槽の中で息苦しそうに重なり合った魚たちが印象的だった。
タイミングがすごく良かったかもしれません。
「ハウス・ジャック・ビルト」を観た後の、一発目ですから(笑)
「ハウス〜」のレビューの最後あたりに書いたけど「夢」とか「希望」あふれる映画が観たい…なんてこと。
まさに「希望の灯り」というタイトルは、ドンピシャでした!!

ただ、タイトルで謳われているほどあからさまな「希望」という感じではありませんでした💦
近年稀に見るハイレベルに暗ーーーい主人公に、まず「おやおや?」という印象を受け…しかしながら嫋やかな音楽の中、水中を自由自在に泳ぐかのようなフォークリフトの舞に知らず知らず心を奪われていました。
きっと、何かが始まる…。

でも思ったほどには何かは始まらず、大型スーパーマーケットで働く人たちの淡々とした日常が描かれます。

まあ、主人公のクリスティアンと既婚者のマリオンとの下北以上原宿未満なロマンスや、教育係のブルーノとの年齢差を越えた友情など…そこまで起伏の激しくないストーリー展開は用意されております。

下手したら眠気という名の天使と悪魔に揺さぶらてしまったあげく、ドナウ川に流されてしまいそうになるくらい…ゆるやかな映画かもしれません。

だけどボクの場合「ハウス・ジャック・ビルト」でまあまあ気持ちが荒んでいたタイミングだったので、すごく心地よく感じられたような気がします。
めちゃめちゃクリアーじゃない映像が、逆に雰囲気を醸し出していて…個人的には大好きです♡

いろんな受け取り方があると思いますが、ここでもやっぱり人と人とのつながりの大切さがテーマなのかな…と。
そこのつながりがあってこそ、希望に灯りが燈るんだよって。

自分本意で頭のイカれたシリアルキラーのグレイテスト殺人お披露目ショーにはなんのシンパシーも感じませんでしたけど、この作品には…心のすみっこがほんの少しあったかくなりました。

余談ですが、フォークリフトの講習会の場面の教則ビデオの内容が…ま、ま、まさかのホラー💦そのグロさ、必要なん?って感じ(笑)お国柄なのかな?

それと、マリオン役の女優さん。美人ってわけではないけど、なんだか魅力的だったな。よくよく考えたら若い頃めちゃくちゃお世話になった職場の先輩に似ていました。同じ職場だったけど、退職後に産婦人科に勤務されていました。うちの奥さまはその先輩のいる産婦人科で出産したのですが、出産日その先輩はお休みだったにもかかわらずわざわざ来てくれて分娩にたずさわってくれたのです。そうして無事にうちの娘は産まれてきてくれました。
マリオンを見ながら、その先輩を思い出して「あの時は、ありがとうございました」と…心の中でつぶやいてました(笑)

やっぱり、人と人との出会いってとっても大切ですね(o^^o)
最後に波の🌊音を表現するとは…
自分なら聴き取れたのかな?
無理かなぁ…
誕生日の祝い方とか、はじめの方はすごくいい雰囲気だったけど、好きな人の家に侵入する微妙なサスペンス的要素を入れた意図がよく分からない

良い音楽や印象的なシーンや言葉はたくさんある
ただのスーパーの通路や大型トラックのヘッドライトでさえ綺麗に見えた
でもただそれだけで、別にそれだけで良いんだけど、良いんだけどな...

全員がそれぞれのしんどさとか辛さ苦しさ自分だけの地獄みたいなものを絶対に持ってるし、そんなのは私にとってもう分かりきってることだった
お互い多くを語らず詮索せず、
だからたまに見え隠れする優しさがぐっと沁みいる。
店員の着ている青いショップコートもすてきだった。

主人公にはキモいで賞を授与。
人ん家勝手に入ったらダメですよ!
真夜中のスーパーという暗い場所で、様々な「暗い」過去やバックグラウンドを持った人たちが、少しずつお互いを知り、信頼し合い、助け合いながら、前を向いて生きていく。派手さはないけれど、作り上げられた人間関係そのものが、暗さの中に確実に存在する「灯り」になっている。

音の使い方がとても印象的。
冒頭、クラシックが流れる中、フォークリフトが行き交う描写。いかつくて、無骨なフォークリフトの動きも、この曲とともに見ると、どこか軽やかで、ちょっと滑稽に見えて面白いな、と思ったのだが、今になって考えるとこの作品世界の全体を象徴してるように感じた。あのフォークリフトを軽やかに見せる演出が、登場人物のそれぞれの希望が、スーパーという職場に存在していることを象徴している。悲しい場面も確かにあるが、優しい作品だった。