希望の灯りの作品情報・感想・評価・動画配信

「希望の灯り」に投稿された感想・評価

Tomoboop

Tomoboopの感想・評価

3.8
音楽・色や光の使い方が秀逸!スーパーマーケットという閉ざされた空間でこんなに色々な画が撮れるなんて素晴らしい。スーパーという小さな社会空間での人間ドラマというストーリーは、他の国・街でも起こりそうで共感できました。トニエルドマンの女優さんが出てました、味のある女性だな~。とても好きなタイプの映画です!
壁は壊れど資本主義への転換が旧東独の人々に今尚刻む揺らぎ、そんな悲哀を描きつつも感傷は控えめに深夜の巨大スーパーという無機質な世界で隔てた棚越え通い合う人の温もり。寡黙な青年の試用期間を通して仕事に恋に揉まれての本当の意味での壁壊しwを優しく見つめる秀作!好きやわ〜

皆それぞれに儘ならない何かを抱えつつも深夜のスーパーに集い〝美しき青きドナウ〟に合わせてフォークリフトを走らせる。しがらみを一旦捨て共同体として流れに身を任せ働く姿、そんな何気ない風景や人の営みにスーパーの灯りさえ尊く思えてくる。大袈裟かもしれんけどそんなのに気付かせてくれる映画。

自分も昔スーパーではなく物流倉庫で電動ハンドリフトとか走らせた経験あるので仕事映画としても何か懐かしさを感じた。結構あれ楽しいんですよw
この映画が描く仕事は緩めやけど愚痴で成り立つ人間関係とか無骨ながら面倒見良いこんなオジサンいるわ〜な近さなど絶妙。単調を彩る幻想がナイスな塩梅!

当然年代によって東ドイツへの郷愁は様々みたいやし再統一がアイデンティティに及ぼす影響なんかも割と容赦なく描かれてた。社会主義時代にも増して止まれない彼らの寄り添い生きる姿が愛おしい。
昨日観た『半世界』にも通ずるような、この世界の片隅コミュニティ、大好物!劇場行くべきやったな〜
千月

千月の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

人が明日も生きていこうと思えるには何が必要なのだろう。

毎朝の挨拶や、コーヒーブレイク。仲間とこっそり吸うタバコ。
好きな人と交わした言葉。
フォークリフトの運転が出来るようになったこと。それを喜んでくれる仲間。
1日の終わり、顔なじみのバスの運転手と交わす、「良い一日だった」。

ささやかな日常の中にある、大切なことを積み重ねて、そうやって灯りを灯しながら生きていく。
この映画で映し出されているのは、そういうものだと思う。


何でも買えそうな、巨大なスパーマーケット。
その在庫担当の新人、クリスティアンはタトゥーがある訳アリな人間。
ブルーノを始めとする職場の同僚は、無口な彼を疎外することなく一緒に働いている。
クリスティアンには気になる同僚女性(マリオン)もでき、日常は少しずつ進んでいく。

途中、ブルーノとの会話から、彼とその仲間が、東西ドイツ統一後、長距離トラックの運転手から、今の仕事に転職したことが分かる。運送の仕事を懐かしがるブルーノ。その時代、その場所を生きた人間にしか分からない感情がそこにある。

終盤、自分の家にクリスティアンを誘うブルーノ。その家の、灯りがほとんど無い、取り残されたような寂しさ。酒を酌み交わしながら、クリスティアンの訳アリ部分(少年時代、前科があること)を聞いても、静かに受け入れる。
そんな風に人に優しく出来るブルーノは、その後、自殺してしまう。あの寂しい家で、彼は、自分自身には優しく出来なかったんだ。そう思うと哀しい。

マリオンとクリスティアンの関係は、マリオンが既婚者(だけれど、夫と上手く行っていないらしい)ということもあって一筋縄ではいかない。それでも、廃棄対象のお菓子から作った誕生日ケーキ、ささやかなクリスマスパーティーと、ほのかに温かいエピソードが続く(クリスティアンがマリオンの家に無断で入り込むエピソードがあり、そこだけ私には消化不良だった)。

ラスト。マリオンはクリスティアンに、ブルーノから教わった、フォークリフトのアームを動かすと波の音か聞こえる、というのをやってみせる。一緒に働いていた、もう会えない人の思い出を、二人は共有し、また明日も生きていく。(休憩室の壁に描かれているのは、ヤシの木でリンクしている?)


地味な作品だと思うが、クラシックを始めとした劇伴もとても良い。
観た後、明日も生きていける灯りが、私にも灯った。そんな気がした。
こんなに音楽が良い映画久々。
冒頭からエンドロールまで、音楽とカットの相互作用がすこぶる良い。

全編気の利いた、というか気の配られた画で、オシャレでもあるけど生活感もある。
人や流れの気配を表現するのもとても上手い。
映画だと寡黙な主人公の雄弁さ、ってあるあるだけど、ものすごく効果的だった。

淡々と描いてる、みたいなレビューも見かけるけど、主人公の表情に喜怒哀楽が乏しくて画が整っててテンポが一貫してる、ってだけで、だいぶエモーショナルな映画だし、悲壮な映画でもない。
スーパーで働く一人一人の毎日に、誰も見ることのないドラマがある。
みんなそうして生きていて、いつか誰かの死を悼み、いつか願わくば悼まれたい。
そんな温かくて優しい目線だと思う。

主役と人妻彼女はアントン・イェルチンとケイト・ブランシェットの紛いモノみたいだった(笑)
藺草

藺草の感想・評価

3.5
淡々と進んでいく物語ではあったが、最後まで飽きることなく追いかけることが出来たかな。フォークリフトの講習で流れてたビデオ笑ったw
oco

ocoの感想・評価

3.3
やるせない気持ちになった
虚しいって感じる夜、誰にでもあると思うけど、そんな夜を想起させられる作品だった。

人が人を求めたり、仕事に奮起したり、趣味に没頭したり、人は生きる理由を外に求める限り、虚しいって感情からは逃れられないと思う。

でも生きてるだけでもうけもんってそういうわけにもいかない。

生きるってどういうことなのかと常々考えてて、その解は多分生きてる間には出せないと思ってる。

でも過去は振り返らず、未来に理想は求めすぎず、今に没頭する。とりあえず今を生きてみるってのが適当なのかなって思った。

わからないけど。
10 2020/1/5 アップリンク渋谷

見逃してた映画。
構図、照明、音楽、丁寧な映像。
豊富な商品が並ぶスーパーの裏側やフォークリフトがパレットをまとめるところとか単純に面白い。
初日の制服支給からすでに優しい。
皆が誇りを持って真面目に働く職場は美しい。
主人公が馴染んでいく姿に心が温まる。
あぶを

あぶをの感想・評価

3.5
とある著名人のコメントで
深夜のような映画みたいな表現があったけども、その通りだと思った。

深夜に観る最初から最後まで尽きないミッドナイト人間模様。

特別何か大きな出来事があるわけでもない
深夜特有の静寂とか冷たさが漂ってるおかげでちょっとした事で心が満たされたりする。

有名人でもないし人気者でもない
友達も特にいなければ人恋しさを満たし合う人すらいない。
そんなスポットライトが当たるはずのない裏方的な人間にもそれぞれの人生がある。

虚しかったり悲しかったりしても
叫ぶことも吐き散らかす元気もない
それでも淡々と日常を過ごして行く
ちょっとした愛や優しさに触れるために


現実的な映画でよかったよ
スーパー内部をテーマにしてるのもよかった。

ベルリンの壁が崩壊して
東西統一したけど
人間の心は言葉の通りにはいかなくて
崩壊したことで、東ドイツは深刻な問題を抱えた。
そんな背景を基にしたライプツィヒの物語です。
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