坂本安美

未来を乗り換えた男の坂本安美のレビュー・感想・評価

未来を乗り換えた男(2018年製作の映画)
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ナチの恐怖を現在に呼び起こし、 それがさほど遠い過去のことではなく、そんなに遠い未来でもなく、ある意味、時間が入子状態になっているとさえいえる見事なドラマトゥルギー。それが、いくつかの街角、店、部屋、ミニマムな舞台設定の中で展開され、扉、窓、手すりの向こうから、ふっと、別の場所が現れ、空間も重なり合っていく。すべてのつながりが一旦ばらばらになったところからいかに再び繋がることができるのか。ヒッチコックの『めまい』、あるいはジャック・ターナー的フィルムノワール、つもり現代的サスペンスに連なる作品、と言っては褒め過ぎか。
坂本安美

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