「おばあちゃんの家」と180度違う映画。
まさに生き地獄。
2011年に起きたノルウェーの連続テロ、
首都オスロの庁舎の爆破とほど同時に
避暑地ウトヤ島で起きた銃乱射テロ。
島で69人、庁舎も併せて77人がテロによ命を奪われたのだ。
本作はその惨劇を、事件とほど同じ時間の長さを、ワンカットで描く。
銃を連発する音、悲鳴、
逃げ惑う若者、カメラも同じように
逃げ惑う。
犯人は一切映らない。
主役の女の子をずっとカメラが追うので、
見えないものもいっぱいある。
そう、犯人は見ていない。見えていない。
遠くで、「バーン！バーン！」の
不気味な音が響き、時にはそれが近付いてくる。
つまらないスプラッタ作品より、100倍怖い！
ワンカット、実物大時間などが
「映画としてどうなのか？」という疑問も
分からなくもない。
上手い映画とか、いい映画とかと
ちょっと尺度が違うのだと思う。
これは、事件を見て、知ってもらうために作られた作品
そう、テロ現場にみんなを連れて行くために作られた作品なのだと思う。
そーゆー意味での撮影手法は、ありだと
思う。
本作は、言うなれば、再現フィルムなのだ
島という逃げ場のない場所で、ライフルを
めっちゃくちゃに撃ってくる狂人
逃げる若者たちの、「もう、この穴はいっぱいよ、出て行って！」ていう気持ちにもなるだろう。
エンドロール流れた衝撃の事実
命を奪われなかった人たちも、
何と300人以上がPTSDに苦しんでいると
いう。
エンドロールにはなかったが、
犯人は、有罪判決を受けだが、死刑や無期懲役のないノルウェーで、それらを求める運動も起きたそうだ。
私も死刑廃止論には賛成だが、この話を聞くと、それも揺らいでくる。
これを劇場で観たら、軽PTSDになっちゃつかもしれないほどの衝撃の一作です。
