たむたむ

ウトヤ島、7月22日のたむたむのレビュー・感想・評価

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)
3.6
「帰ったら、何したい?」

ショートフィルム『SAFETY』観た流れで鑑賞。

突如、10代の若者約700人が集うサマーキャンプ 場に、鳴り響く銃声。69人もの尊い命が奪われた、2011年・ノルウェーで実際に起きた凶悪テロ銃撃事件をベースに、惨状を長回し映像でリアルに綴ったモキュメンタリー。

恥ずかしながら、東日本大震災と同じ年に異国でこんな痛ましい事件が起きていたなど全く知らず。。
この事件を題材にした別作品がネトフリにもあるんですね。機会があれば是非そちらもチェックしたいと思います。(現状、残念ながら未加入)

こちら基本的にフィクションなのですが、銃撃が続いた72分間をワンカットで再現していることにより、まるで自分も事件現場に居合わせているかの如く、リアルな恐怖の追体験ができる衝撃作。徹底的に貫かれた被害者目線は見事でした。

本作の主人公と位置付けられるカヤが、責任感の塊みたいな人格者。発砲音が響く中はぐれた妹を探しに走ったり、頑なに居座る男の子を説得したり、名前も知らない負傷者を介抱しながら側にいて励ましたり…自分に置き換えた場合、果たして彼女のような行動が出来るのか?と考えたら疑問しかなかったし、思わず泣きそうになった;

ただ、中盤になると緊張感も切れてきて、良くまぁ長いこと続くなぁ…とか、弾切れしないのかなぁ…とか、余計なことが頭を過り始める(^^;;
途中、マグナスが笑いを堪えられず、不謹慎だと周りから咎められるシーンがあるのですが、このへんも登場人物たちの心情とリンクしている感じがあって、なるほどなと思ったり。

タスマニア島で起きたポート・アーサー事件を題材にした『ニトラム』同様、無音で流れるエンドロール。。皮肉なラストまでも重ーく響く作品でした。
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