柏エシディシ

ウトヤ島、7月22日の柏エシディシのレビュー・感想・評価

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)
2.0
先だって、ニュージーランドで相似の痛ましい事件もあり、心穏やかに見ることは難しかった。

寡聞にて、本作の原案となったノルウェーの事件は知らなかったのだけれど、この手の銃乱射事件やヘイトクライムは世界中で後を絶たないという現実。
その現実に、映画やアートはどのように立ち向かうべきなのか、どのようような役割を担えるのだろうか。おそらく映画に携わる人や、我々映画を愛する観客は考えざるを得ないし、実際、この手の題材に向き合った作品は定期的に作られている。

本作においては、ワンカット長回しという仕掛けで、観客にその恐怖を疑似体験させ、事件への関心と意識を促すという目的があるのだろうけれど、残念ながら自分には効果的とは思えなかった。

カット割りが無くなることによる効果として、映像の受容より思考の自由を優先的に得てしまう私たち観客は、リアリティよりも真逆の作為性にこそ意識的になってしまう部分が大きくなってしまわないだろうか。
それは本作の意図とは正反対の属性であり、結果、監督の目論見も失敗してしまっているように思う。

ちょうど監督の前作「ヒトラーに屈しなかった国王」が複数の人間の視点に振れながら、時にドラマティックに、時にドキュメンタリックに、重層的に事態を見せる事によって、作品テーマに重みや深みを与えていたのとは対照的の様に自分には思われた。