ShiroKyogoku

ウトヤ島、7月22日のShiroKyogokuのレビュー・感想・評価

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)
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2011/7/22に起きたノルウェー連続テロ事件。
事件自体は記憶にあるけれど、この時は日本も大変なことになっていて、身の回りのあらゆる情報が錯綜していた頃だから、事の詳細は余り覚えていなかった…
なので、観賞後に事件の詳細を調べたことで色々知るきっかけとなれたのは意義深い結果となったのだけれど、この作品そのものはどうかというと、ちょっと点数をつける感じのものではないかな。

実際の銃乱射をしていた72分と同じ時間をワンカットで撮影していて、事件の顛末を知り得ることのできる情報量や、時間の流れ方など、あの場にいた人と同じように体験する試みは凄いと思う。
そして、作中での人々のとりうる行動など、かなり綿密に当事者からの話などを聞いて制作されたのだろうなと思った。
1度の失敗も許されない、俳優さんやカメラの人の尽力も相当のものだったろう。まして未曾有のテロ事件を題材としたものなのだから。

けど、これは自分がいけないのだと思うけれど、時間の流れや出来事に余りにリアリティを追求しすぎている為か、逆に現実のものと思えなくなってしまうという不気味の谷のような感覚に陥ってしまった。

何が起きていて誰が事を起こしているのかもわからない、逃げればいいのか、そこに止まるのがいいのかもわからない、そして、見たこともないような人の死を目の当たりにした時、一体どう反応したらいいのかすらわからない…
本当に大きな事件、事故、災害などに巻き込まれたとき、きっと多くの人はそのようになるんだと思う。
それが、あまりにそのまま過ぎたところが、映像やストーリーとしての「映画」としてのリアルを感じられなかった、というより自分がリアルを遠ざけて観てしまったんだろうと思う。

自分たちの知ることは、時間が過ぎ、後から多くの情報を集めて構成された出来事で、更にそこへ評価がついたり思考を巡らせる事だったりする。
でも、その時その場所にいた場合に何が起きているかなど、整理もつかなければ、何かを感じたりなんてする余裕すらないのが実際のところなのかも知れない…
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