ウトヤ島、7月22日の作品情報・感想・評価

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「ウトヤ島、7月22日」に投稿された感想・評価

先だって、ニュージーランドで相似の痛ましい事件もあり、心穏やかに見ることは難しかった。

寡聞にて、本作の原案となったノルウェーの事件は知らなかったのだけれど、この手の銃乱射事件やヘイトクライムは世界中で後を絶たないという現実。
その現実に、映画やアートはどのように立ち向かうべきなのか、どのようような役割を担えるのだろうか。おそらく映画に携わる人や、我々映画を愛する観客は考えざるを得ないし、実際、この手の題材に向き合った作品は定期的に作られている。

本作においては、ワンカット長回しという仕掛けで、観客にその恐怖を疑似体験させ、事件への関心と意識を促すという目的があるのだろうけれど、残念ながら自分には効果的とは思えなかった。

カット割りが無くなることによる効果として、映像の受容より思考の自由を優先的に得てしまう私たち観客は、リアリティよりも真逆の作為性にこそ意識的になってしまう部分が大きくなってしまわないだろうか。
それは本作の意図とは正反対の属性であり、結果、監督の目論見も失敗してしまっているように思う。

ちょうど監督の前作「ヒトラーに屈しなかった国王」が複数の人間の視点に振れながら、時にドラマティックに、時にドキュメンタリックに、重層的に事態を見せる事によって、作品テーマに重みや深みを与えていたのとは対照的の様に自分には思われた。

このレビューはネタバレを含みます

実際の事件のドキュメンタリーではない、フィクションという但し書きありきの感想です。主人公のカヤの混乱と動揺、思い込みと冷静さにイライラハラハラしつつ、True Colorsのとこで吹き出してしまった。その為、あれ程命に変えて探し回っていたバカで自己中な妹が生き残るという皮肉な結末は一体どう解釈すればいいのか。ただ生々しい銃声の聞こえない方へ移動すればいいとも思えず、実際にその場って考えちゃうともう映画では無くなってしまう気がする。ブレアウィッチみたいな主人公の白人女にイライラしながらもまた見たくなる映画です。
F

Fの感想・評価

5.0
実際、ノルウェー国内でもこのテロによるダメージはまだ心の中に続いてて、犯人の名前を口にするのはもちろんNG、事件について掘り返すこともタブー視されてきた。
でも極端な思想・ナショナリズムの危険性を改めて考えていくために、監督自身がノルウェー人のエリックポッペがメガホンを取ったのは、すごく大きな一歩だと思う。

つらいけど、どれだけ悲惨なことが現実に起こったのか、背景は何なのか、たくさんの人が知るべき。

ちなみに、この映画には友達もたくさん出演してるので、感情移入しすぎて、一部のシーンは本当に胸が痛かった。
nakaji

nakajiの感想・評価

4.0
ウトヤ島、7月22日

銃声が腹の底まで響いて、いつまでも消えない
トラウマになりそうだ .
事件発生から終息までのリアルタイム72分間をワンカットで描いています

2011年7月22日午後3時17日、ノルウェーの首都オスロ政府庁舎爆破により8人が死亡。
午後5時すぎ、オスロから40キロ離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生。ノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者たちなど69人が犠牲となった。
犯人は32歳のノルウェー人だった

単独犯としては史上最多の77人の命が奪われた連続テロ事件

事件発生から7年が経過した2018年に、奇しくもこの事件を題材にした2本の映画が制作された
「7月22日」は、テロによって傷ついた少年がそのトラウマと向き合っていく過程を中心に、ブレイビクの犯行と裁判での言動、国の安全保障の見直しを迫られる首相らの姿を捉え、テロ事件だけでなく事件後に何がノルウェーで起きたかを描いている

そのことが犯人が主張している事を宣伝し、彼を喜ばしているというのだ
ノルウェーでは彼の裁判中に死刑が廃止され、終身刑もないらしい

彼は遠くない将来、釈放される可能性がある
そのうえ、彼の行った内容について権利を主張しているそうです

そうなれば、彼は一生安泰な富を得る事になる

今作は、死の恐怖を持つこともなく、罪の意識さえ持たない人間を放置していいのかを観客に問いかけている

1997年5月27日
男の子の首が中学校の校門にのせられていた
耳まで引き裂かれた口には犯行声明文がはさまれていた
犯人の酒鬼薔薇は2人の子供を殺し、3名の重軽傷者を出したが、14歳の少年ということで無罪になってどこかで生きている

彼は犯行について本を出して、4000万円の印税を受け取っている
彼は有料メルマガで儲けようとさえしていた

死刑廃止や過保護な少年法がもたらすもの

他人事だからとイメージ出来ないなら
この映画を見て体験してほしい
Blue

Blueの感想・評価

3.5
主人公カヤの視点を追体験していく。
いつ撃たれるのか、いつ見つかるのか、見えない犯人に対する恐怖が増幅していく。
実際に起こったまだ新しい出来事をこの様に作品として発表するというのは日本では非常に非難されそうだと思いました。
今年劇場鑑賞35作目「ウトヤ島、7月22日」鑑賞。

ノルウェーにて本当に起こった無差別銃撃テロ事件を72分間ワンカット長回しで再現する。予告を観ただけで地獄のような時間になると予想がつく。

いきなり遠くでパンパンと破裂音が聞こえてくると音がした方から大勢の人が逃げてくる。「やべえやべえ逃げろ!隠れろ!」と目の前を猛ダッシュで逃げていく。

実際に起こった事件である事で、我々はこの事件が移民問題に反対する極右の32歳が起こした単独犯のテロである事を知っているが、この場に居合わせた若者達は
「一体何が起こっているのか?」
「一体何者が何のために?」
「一体何人で?」
という状況が全く分からず、パニック状態のまま逃げ惑う。警官が撃っている。複数人の犯人が撃っている。とパニック状態であるが故にデマが飛び交う。
いったい何が起きているのかサッパリ理解できぬまま、ただただ迫り来る銃声に怯える。これほどの恐怖があるだろうか。。。

ブレブレカメラに酔う。
緊迫感で心拍数が上がる。
メンタル削られお腹が痛くなる。
これを72分もやられると、正直死ぬかと思った。

そこまでショッキングな映像は少ないものの心理的に追い詰められていく様が、観てるだけの筈の観客をも精神的に追い詰める。

銃声の大きさにより、犯人との距離を表し、銃声が鳴るタイミングや間隔で恐怖感を助長させる演出は劇場での鑑賞でないと体感できなかったのではないだろうか?
家庭での視聴になるとヘッドホンは必須かと。

長回しの臨場感。パニック状態の疑似体験。恐怖心の増幅演出。吐きそうでした。
観る前にトンカツ食って観にくるじゃなかった。。。と激しく後悔。
昨年の「デトロイト」ばりに、観直したく無い映画の1つです。

最後に登場人物であるナンパ君に一言。
あの状況で「猫の動画見る?」は絶対笑えねぇ!!
あの銃声は心臓に悪い
記録 2019 06月 07本目 累計 128本目

これまた圧倒された。
情報のない事がこんなに不安だとは思わなかった。
事件はニュースで見たかなぁってぐらいの知識。キャンプを見て感じるのは大人な考えの子供達の多いこと。日本はやっぱり幼いのかな。戦争のない平和が続いた弊害?

とにかく72分間ワンカット、しかも1人にフォーカスして。感心しました。
後半の男の笑い、どこまでが演技なのか?わかりませんがLIVEじゃないのにちょっと別の意味でドキドキしました。

ラストは悲しくなりました。
さち

さちの感想・評価

4.0
ヤツ の顔は映るわけではないのに、グリーングラス版のヤツの顔が目の前に浮かぶ。
先にグリーングラス版を観るほうがいい。怖さが増すから。

こんな長回し、咳もくしゃみも出来んし大変よなぁ…

国がちがうと罪と罰の価値観もまた違う。今もヤツは広い快適な部屋でのんびり過ごしでると思うと気分が悪くなるけど。
個人的にはネトフリで配信されているグリーングラスの方が好きだが、全く違うアプローチでほぼ同じタイミングで公開というのは面白いし、こちらの映画にはグリーングラスの映画にはない価値があるのも確かだろう。カヤとエミリエの関係がとにかく尊い。
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