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バグズ -昆虫食は地球を救うか-のTSのレビュー・感想・評価

3.6
【可能性のある昆虫食】77点
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監督:アンドレアス・ジョンセン
製作国:オランダ他
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:73分
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中々興味深いドキュメンタリー。昆虫が将来人類にとって重要な食材になるのでは、という昆虫食の可能性を映したドキュメンタリーです。開拓チームのメンバーはみな、美味なるものを求めて動いています。無論、その美味なるものには昆虫も含まれているため、彼らはふつうに昆虫を調理して食べていきます。これにはびっくりしてしまいます。しかし、我々の食文化にも偏りがあるのだなと改めて感じさせられました。

一部の地域では昆虫を食べるのはごく普通のことなのでしょう。ところが日本においてはそれはかなり異様な風景であり、獲って育てるというのはあっても、獲って食べるということは中々ないでしょう。ここで対比できるのが魚です。我々は島国だからか、魚を食べることには何の抵抗も示しません。しかし、生魚、つまり刺身などに関しては海外の人でも嫌がる始末。昨今は寿司が世界的に普及しているため、生魚を食べるのを嫌がる人は減少したかのように見えますが、要はその魚と昆虫では果たして何が違うのかということです。これが価値観の違いであり大変面白いと思いました。昆虫の中には地面の中で育ってきている種もあるため、栄養価がないということは考えづらいです。ただただ、見た目が気持ち悪いから食べないという価値観にとらわれているのです。一部の地域ではむしろ魚の方が汚らわしい存在とされているようです。なぜなら密林の川で棲息する魚は、川の中のさまざまな死体を食べているからという価値観に基づきます。そんなこといったら昆虫もさまざまな死体を食べているだろうと言えそうですが、そこはつついても仕方ない。ようは文化差、価値観の違い、これが全てなのです。

とは言え先進国の目線から見ると昆虫食はまだまだ否定されている食材。そこで彼らは世界中の昆虫を追い求め、どの昆虫ならば美味しく調理できるのか研究していきます。昆虫嫌いの人が見ると下手なホラー映画より怖いかもしれません。流石に僕もハチを食べているところはゾゾっとしましたが、我々もししゃもを丸ごと食べているので似たようなことをしてるのかなとも思ったり笑 開拓チームはこぞって美味いというので食材としては何ら問題なさそう。あとは先入観の払拭なのでしょう。これが中々難しいと思われます。こんなことを言ってる僕も、昆虫を食べるのには抵抗があります。言うまでもなく先入観があるからでしょう。

今作は、身の回りにいる昆虫を食材として扱うならばということを考察したドキュメンタリーであり、大変価値のある作品だと思います。そして、食糧危機といってるものの、結局先進国に飽食国家的要素があるからそういうふうに見えてるだけと言うことも言及されていました。大変勉強になる、良作であると感じました。
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