Sashiwo

華氏911のSashiwoのレビュー・感想・評価

華氏911(2004年製作の映画)
3.2
結構前(というかパリで同時多発テロが起きた2015年)に知人がこの映画のレビューを書いていて観なくちゃなと思っていた映画で、やっとみれた。

このアンチ・ブッシュ政権映画は、軽快な音楽と残酷な映像を流しながら痛快にアメリカの政治批判をしていくわけだが、その痛快さを見ていて私は息苦しくなった。みなさんアメリカという国はこんな下劣なことをやったのです!と世界中に伝えてパルム・ドールをとった監督自身もアメリカ人であって、どこかの部分で責任を回収しきれていない。(置き換え可能か分からないが、ナチス政権崩壊後のドイツ人の反省の方法とは異なっている)
表現の自由は認められる。どんなナレーションも編集もオッケー。しかし最後の「もう騙されない」という監督のひとことが重いようでとっても軽い。責任の所在が、誰にもないような気がする。騙そうとする人がいなければ騙されない人も力を発揮できない。 と、これはテロにあったことのない人の語り口だ。

それでも私がこの映画をみて初めて知ったこと(それを疑うことも含めて)のボリュームは大きく、個人的に反省するばかり。この作品がエンターテイメントではなく教材である限り高く評価する必要があると感じた。
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