フラハティ

華氏911のフラハティのレビュー・感想・評価

華氏911(2004年製作の映画)
3.0
2001年9月11日、ワールドトレードセンターに飛行機が衝突した。


明日で17年もの年月が過ぎる9.11。
この事件が起きたとき、まだ子どもだった僕には、この事件の詳しいことはまだわからなかった。
今でもわからない部分も多い。

9.11が実際に起きた瞬間、当時大統領であったジョージ・W・ブッシュは、絵本の読み聞かせを行っていた。
9.11を聞かされても、彼はじっとしてその場から動くことはなかった。
アメリカの大統領であるのにも関わらずだ。


マイケル・ムーア監督による、杜撰ではないかと思わせるアメリカを映し出す。
偏った思想が反映されているという意見もあるけれど、事実である部分もあり、アメリカの政治について知るきっかけになる。
正直こういった政治とカネの問題って、かなりグレーなところで闇も深い。
真実にたどり着くことは結局のところ一般人には不可能なものだと思う。
だからこそ、ここまで踏み込むことができる監督はすごいし、本当の意味でアメリカのことを考えている。
アメリカのテレビでは見ることのできない(規制されている?)要素もあるようで、観る価値は充分にあるんだろうね。

この映画における真実はいったいどこにあるのか。
本作で語られることはすべて鵜呑みにしてはいけない。
でも、実際に9.11が起きたときのブッシュ元大統領の行動は事実であるし、イラク戦争で多くの死者が出たことも事実。
本作を見終わったあとに、どう感じ、どう考えるのかというのが大切。
考えること、世界を知ることを止めてはいけない。


9.11の首謀者と言われるビン・ラディンに2ヶ月も逃げる猶予を与えた。
まるで関係のないイラクに攻撃を行った。
戦争はいつだって商売になる。
軍事産業にとっては必要なもの。
国民の不安を煽ることで、国が行っていることの正当性も主張する。
テレビや政治家が語ることは、バラバラであり、国民を混乱させる作戦であるのかもしれない。
ブッシュとビンラディンは家族ぐるみの付き合いだったみたいだし、なんか闇は深い。


争いで国を制したアメリカ。
本作は映画というものを通して、一アメリカ国民であるマイケル・ムーア監督の思想が現れる。
その手には銃ではなく、カメラとマイクが握られている。
言論で膨大な情報をまとめながら、無知な僕のような観客にまで理解が及ぶように編集されている。
多くの国民にインタビューがあるけれど、その考え方は様々。
国のことを信じている人もいれば、どうしようもないと思っている人もいる。
この映画だけで考えると、どうしてもブッシュ元大統領がひどすぎるという印象は拭えないけど、政治の評価は難しいからなぁ。


あれほど甚大な被害を被ったはずのベトナム戦争からアメリカは何も学ばなかったのか?
イラクへの攻撃で、またムダに命を奪っていく。
いつも命を奪われるのは貧しき一般人。
まるで使い捨てのように戦地へ送られる兵士。
何のケアもない実態に驚きを隠せない。
彼らに行った政策は事実であるのだから。
金持ちが始めた戦争の尻拭いは、アメリカが誇る最高の国民によって行われるのだ。

マイケル・ムーア監督の作品は、どれも自身の無知さを感じさせるものばかりであり、もっと踏み込んだ実態を知りたいと思わせてくれる。
この監督のガッツはすごい。
フラハティ

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