ariii

母さんがどんなに僕を嫌いでものariiiのレビュー・感想・評価

3.5
終始つらかった。
なんでそんなに自分の子どもを傷つけられるんだろうと不思議でならなかった。
親から愛された記憶のない人は、子どもの愛し方がわからない。それにしても、と感じてしまうほど。
大賀さんと吉田羊さんの演技がすごくて、大賀さんの少年時代の子役の子も愛おしくて、泣いた。
ばあちゃんの愛に涙が止まらなかった。
タイジはばあちゃんがいて良かったね、と。お母さんはきっと、本当に愛してくれる人に巡り合えなかったんだろうなと。
自分の子どもを放ったらかしにして、自分は他の男と遊ぶっていうシチュエーション、よくあるけれど、生活力のない子どもを放置したらどうなるかなんてわかるよね。
旦那の愛がなくても、育児に疲れても、産んだ責任ってあると思うし、産んだら一生親なのに。
本当に育てられないのならば、しかるべき施設やきちんと育ててくれる人にバトンタッチするべき。
何も変えようとしないでただ現状に嘆いて、産まなきゃ良かっただなんて、身勝手すぎると思う。
吉田羊さんの演技が上手くて、観ていて本当に嫌な気持ちになった。かわいそうだからやめてって思った。
だけれど、子どもにとってはどんな親でもたった一人の親であって、愛してほしいと願い続ける。
子どもから見えている世界では親が一番だと思うし、それが全てだから、価値観が決まってきてしまうと思うの。
親から愛してもらえなかった子どもは、自分のことを愛することも、他の人を愛することも難しくなるのではないかな。愛がわからなくていつかどこかでそれに気付くときが来ると思う。
友達との関わり方や恋人との関わり方、大人たちとの関わり方。生きていく上で関わっていく人たちとうまく関わっていくには、自分で外の世界を勉強してトラウマを乗り越えなければならなくなるかもしれない。
それでもわからないものはわからない。
親から愛されるということが生きていく上で本当に大切だということ、初期設定だということ。
生まれてきて、一番最初に親に受け入れてもらわないといけないのだ。
タイジが初めて友達にそのままのタイジが好きと言われたとき、観ているこちらも嬉しくて涙が溢れた。
世界中のどこかには、誰かがきっと受け入れてくれる。
人生捨てたもんじゃないよねって。
「僕はブタじゃない。」
ちょっとしつこくて、でもよくわからないけど涙が溢れて。
自分で抑えこんでいた感情や概念が壊れた瞬間でもあって。
アイデンティティの確立。自己認識することで、きっと変われる。
幼少期の過ごし方がいかに大切かということ、子どもは親を選べないことを痛感した。
つらいなあ、って。
思い出しても、つらいなあ、って思う。
と同時に、自分がいかに恵まれて育ったかを痛感した。親に感謝しなきゃと思った。それを伝えられるかどうかは別として。
この映画は、自分がどういう幼少期を過ごしてきたか、親とどんな関わり方をしてきたかで見方がだいぶ変わると思う。
でもきっと、今自分の周りにいてくれる人、愛してくれる人に感謝しなければと感じる映画になっていると思います。
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